実話にもとづいたお話です。二十数年にも及ぶ全身麻痺のすえ法廷で尊厳死を勝ち取ろうとする男性と、痛いほどその苦悩を知りながらもそれに手を貸すことに苦しむ家族や弁護士の葛藤の物語。主演のハビエル・バルデムのみならず、脇を固める俳優さんたちがいいです。いつも思うのですが、スペイン映画はハリウッドのような美男美女やらカリスマは見当たらなくて、一見地味で普通なのですが見ているうちに引き込まれて胸の奥底をがっつり掴んでしまうような俳優さんたちがたくさんいます。尊厳死に関しては、推奨されることでも否定されることでもないように思います。賛成する、あるいは反対するとき、いったい何を恐れているのか、何に抵抗しているのか、というかなり個人的な問題で、そこからそれぞれの信念や怖れがみえてくるかもしれません。さて、今回の涙壷度(これはどのぐらい泣けるかの私なりの度合い、笑):★★★☆☆(星三つ)で、もれなく涙がついてきます。