かつて、地元のひとたちの質問やお悩み相談を請けおっていた町の小さな雑貨店。
たわいもない小学生の質問には、お店の外の掲示板に答えが貼りだされます。もっと深刻な人生相談になると、翌朝お店の脇にある牛乳箱のなかに回答がひっそりとさしこまれているのです。(劇中の若者も知らなかった「牛乳箱」。今じゃほとんどお目にかかれませんが、牛乳が毎朝配達されていた昭和の時代にはこの箱がどこのお家にもあったのですよね〜。)
悩み相談をしていた店主もいつしか年老いて ・・・ その店が閉じられてしまってから久しいある晩のこと。すでに廃屋のようになったナミヤ雑貨店に悪ガキたちがしのびこみ ・・・ その一夜に彼らが経験する不思議にも優しい雑貨店の奇蹟。
それは時間をこえて、過去や未来、そして人と人が繋がりあうえにしの物語。
この「ナミヤ雑貨店の奇蹟」が映画館にかかっていたときには、さほど興味がなかったのでした。新人俳優さんや、アイドルさんたちのプロモ的な作品かな〜 ・・・ ぐらいに思っていたから。
でも、東野圭吾原作と知って、それも「東野作品のなかで、最も泣ける話」とあり、ガゼン観てみたくなりました。
東野圭吾さんの作品はずいぶん映画化されていますよね。全部観ているわけではないのですが、私のお好みはちょっと摩訶不思議で、切なくって、でも暖かみがある作品。
いちばん最初に観た東野作品は、まださほどメジャーになっていなかった玉木宏さんが主演していた「変身」。もう十数年まえで物語の詳細は忘れましたが、切ないストーリーがずっとこころに残っていました。その後、東野圭吾さんもどんどん有名になっていかれた気がします。
テレビなどで見る「ナミヤ雑貨店」の予告では、山下達郎さんの歌声が記憶に残っていますが、劇中では門脇麦さん演じるシンガーが歌っています。
完全に達郎節の作品だと思っていたけれど、歌う方が変わるとこうも違うものかとびっくり。まるで別モノです。門脇麦さんの憂いあふれる澄んだ歌声がこころにしみわたります。
時空をこえて届くお悩み相談への回答によって、踏みはずしかけていた人生にしっかりととどまり、力づよく人生を切りひらいてゆく女性がいます。
こんなふうにずっとずっと先の未来まで見越したうえで与えられる、ぜったいに間違いのない導きがあったらいいよね〜・・・ と不覚にもうらやましく思っちゃいましたが ・・・
そうでした、あるのでした! ちゃんと私たちひとりひとりにも同様の助けが。 ひとりひとりのずっとずっと先まで見越しながら、完璧に間違えない答えを、いつなんなんどきでも手にする方法が!
この女性のように、自分の迷いに対して完全に正直になって(ナミヤ雑貨店に相談される方は、みんな自分の弱さに正直になって相談しています)、自分で勝手に回答を決めつけるのではなく、手紙のやりとりをするなかで目覚めてゆきます。
私たちも、自分の弱さに対して隠すことなく正直になって、そして尋ねることが必要なのだな〜と感じます。道に迷っていることを自ら認めて、その問いを委ねることが大切なのだな〜と感じます。
でも、私たちにはナミヤ雑貨店のポストはないので、自分のハイヤーセルフに対してこころのなかで手紙を書きます。そして、牛乳箱がないならば、そのお答えはきっとハートなかに静かにおかれることでしょう。
この女性が導かれるように人生を切り開いて、ついには自分がいるべきところにちゃんといる ・・・ というように。
涙活したいときにはオススメの一本です!
涙壷度: ★★★☆☆
東野圭吾さんの作品、いろいろと観てみたくなりました♪