「言の葉の庭」は新海誠監督の2013年の作品です。雨ふりの朝は午前中だけ学校をさぼる、と決めている15歳の男の子。靴職人になりたい彼は、庭園の東屋で靴のデザインを考えているのです。
「天気の子」以前に、新海監督はすでに雨をモチーフにした作品を作られていたのですね。実際の雨よりもずっと、雨ふりの様子がリアルでみずみずしくうつります。
降りそそぐあま粒や雨音、雨に映える庭園の緑、濡れた道路できらめく街のネオン・・・ 15歳の男の子の目にうつる都会の雨は透明感にあふれています。
そんな彼が雨の東屋で出会うようになるひとりの女性。仕事のいでたちにもかかわらず、ビールを片手にどこかうつろな様子。
最初はいぶかっていたもののいつしか少しづつ言葉をかわすようになり ・・・ やがて自然にひかれあいます。そして、彼はそれが誰であるかを知ることになります・・・。
私たちの発する言葉というものはいくら正直に語ったつもりでいても、無意識のうちに自分自身が傷つかないように本当の気持ちがラッピングされていたりします。自分を守りたい気持ちは、その言葉を聞いた相手をおしのけてしまうことにも・・・。
それでも、やがては自分の本音の気持ちに気づけるときがくるのでしょう ・・・ このふたりはどうしたかな〜と思いをはせます。
お友だちに「言の葉」を観たことを話したら、「私は、打ち上げ花火 を観ました!」と。「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」、こちらもアニメ。岩井俊二さんの原作です。
ちょうど岩井俊二監督の映画を探していたので、グッドタイミング!さっそく観てみました。
私たちが誰もが考える、「もしも・・・、あのとき・・・(してたら、しなかったら)」という別の選択肢。
そんな選択肢をめぐって、主人公の男の子がまるでパラレルワールドをはしごしてゆくようです。
こちらの作品も、ガラス玉のきらめきや夏の光あふれる風景、夜空をいろどる花火の色彩が、16歳の男の子と女の子のゆれる気持ちとともに美しく描かれています。
ラストは「シェイプ オブ ウォーター」のように、想像がふくらみました。
お友だちも「言の葉の庭」をすぐに観たそうで、お互いの映画の印象をシェアするのもおもしろかったです。
お互いの仕事の目線が作品をみるときにもやっぱり生きていて、「へ〜、気持ちと音楽のシンクロまで気づかなかったな〜」とか、いろいろ楽しい発見がありました。