おおらかな性格のアーネストは牛乳配達。しっかりもののエセルはメイドさん。
ふたりは出会い、恋をして結婚し、ウィンブルドンの小さなおうちで暮らしはじめます。
ささやかな日常をすごすなか、息子のレイモンドが生まれ、戦争という荒波にもみくちゃにされつつもそれを乗りこえ ・・・ やがて老いを迎える日々の暮らしを描いた物語。(→予告をみる)
手書きの絵本のようなタッチの画面から、あたたかさがあふれてきます。
ふたりの生活はいつも互いを思いやり、質素であってもこころ豊かです。
一軒家の広いベッドルームに大喜びするものの、最初はカーテンを買うお金もなくシーツを張りめぐらしたり。猫の額のような小さなお庭に椅子を並べて、お茶を楽しんだり。
ときの流れのなかで、少しづつ生活も上向きになってゆきます。
イギリスの小さなお家で営まれるどこにでもある日常。平凡だけれど、誰もがこころを重ねられる日常の風景のように感じます。
観おわったとき、やさしい気持ちに満たさるとともに、切なさと寂しさも残ります。あの有名な絵本「スノーマン」を読みおわったときのような気持ち。
「スノーマン」は、少年と彼が作った雪だるまのお話。彼らは夜どおし、ふたりでワクワクするような体験をするのですが、夜があけて少年がベッドからでてみると、日の光のなかにスノーマンの姿はないのです。
じつは、このエセルとアーネストのお話は、「スノーマン」の作者であるレイモンド・ブリッグズのご両親のお話なのです。
冒頭でレイモンドさん本人が、スノーマンのマグでミルクティーをいれている姿が映しだされます。
イギリスではミルクティーを飲むとき、冷たい牛乳を使い、紅茶よりも牛乳を先に注ぐといいます。
レイモンドさんが紅茶を入れている様子はまさにそうでした。けっこうドドっと牛乳を注いでいます。
でも、イギリスの硬いお水で紅茶をいれると、アバウトにいれてもおいしい気がします。
「スノーマン」、また読みたくなりました。ミルクティーを飲みながら♡