この映画、日本で撮ったらいったい誰がレイラの役ができるだろう?と考えてしまいました。
フィンランドの片田舎を舞台にしたジミな映画です。登場人物がたったの三人しかいません。主役は恩赦で出所してきたばかりのレイラ。えらくふてぶてしく攻撃的でふてくされた中年女性。太ってむくんだ容姿から、彼女の抑圧した心の痛みがにじみ出ています(スゴイね、この役者さん)。
あとは、レイラが身をよせることになった牧師館の主、盲目の老牧師ヤコブ。そして、この老牧師の生きがいである「身の上相談」の手紙を配達してくる郵便配達人。
レイラは牧師館においてもらえることに感謝するどころか、恩赦を申し出たであろう牧師を恨んでいるのです。もちろん、老牧師の手伝いである手紙の返事の代筆もいやいやながらで、老牧師の邪魔さえします。
郵便配達人もレイラをこわがり、牧師への手紙の配達がぱったりやみはじめ・・・生きるよりどころの手紙が届かぬことで、牧師は急速に憔悴してゆきます。
恩赦なんてくそくらえ!で生きているのが苦痛なレイラと、届かぬ手紙によって自分の存在価値を見失ってゆく老牧師・・・・さて、どうなるこの二人?
交わることのないであろう二人が、最後はおもわぬ形でお互いがお互いへのかけがえのない贈りものとなります・涙。
PS 人を支えてきたと思っていた老牧師が、自分こそが手紙によって癒され生かされ続けてきたと気づくシーン・・・身に覚えがあります。
涙壷:★★☆☆☆(最後にしんみり・・・涙)