家族でも、友人でも ・・・問題を抱えて悩んでいる人がいるとき、その人と同じような気持ちになって悩んで苦しむことがその人への優しさであり、助けになると思いがちです。
しかしそうすることで、問題を抱えている人は一人だったはずなのに、気がつけば不幸せな人が芋づる式にふえてしまいます。まるで伝染病のごとく、憂鬱が広がってしまうのです。
だからといって、「ほっておきなさい」「無視しなさい」ということではありません。
一緒になって苦しむのではなく、ただ静かなこころのままで自分にできることはなんでもします。ともに問題を抱えこんで、同じレベルになる必要はないのです。
真に人の助けになりたいと思うとき、一緒に悩み苦しむことは助けになりません。
ともにあれこれ悩んでしまえば、正気でない状態に自分自身もよろこんで参加することになります。これではまさに、ミイラとりのミイラ。ともに地獄入りとなってしまいます!(汗)
助けたいのであれば、自分のこころが悩みや苦しみに侵されていない正気のこころである必要があります。
悩んでいるときというのは、こころが誤った考えにとりつかれて、その誤った尺度でしかものごとを判断できなくなっています。つまり、悩んでいる思考に世界が汚染されてしまっているのです。
だからこそ、自分自身はしっかりと正気を保ったままでいて、その人のための道しるべとなり、「苦しみから出て、こっちにおいで!ここは安らかだよ」と、その人を誘導してあげなければならないのです。
また正気でいることによって、自分自身がその人のために高い自己(ハイヤーセルフ)からのレスキューメッセージを受けとり、それを伝えてあげることができます。
悩み苦しんでいるときには、その人のこころはネガティブな思考や感情でパンパンなっているので、すぐそこに助けがやってきていても、それに気づくことができなくなっています。
その人のためのレスキューメッセージを受けとることは、難しいことではありません。「受信しよう!」と頑張らなくても、穏やかなこころでいれば、そのときにサラリと出てくるひとことや行動が、相手にとって大切なメッセージとなります。
なによりも、自分が安らかな正しい場所にいてあげることで、「私もそんなふうにラクに生きたい!そちら側に加わりたい!」と正しい軌道を進むための道しるべとなってあげることができるのです。
たったひとりだけでも、「今のままで大丈夫だから!」と安心させてくれる人がいれば、自分自身がつくり出した苦しみの闇が簡単に消え去ってしまうこともあります。
心配して同じ状態になって、一緒に地獄に降りてゆくのではなく、安らぎという正しいポジションから寄り添うことがほんとうの共感の仕方なのです。片手でその人の手をとり、それでも自分は安らかな場所にしっかりと身をおき、相手をそこへと引き上げてあげる・・・そんな感じです。
お先真っ暗だと感じているときでも、ちょっと視点が変わることで、自分の体験していた世界が180度ガラリと変わってしまうことがあります。
ちょっとしたひとことや、目にしたことで、サーッと目のまえから霧が晴れるように心配や不安が消え去ってゆくのです。
たったひとりでも「安らぎ」のひかりをキープしていれば、その光に照らされて混乱していた人のこころの闇は消え去ることができます。
だから、悩んでいる人に「わかるわ〜〜。大変やわ〜。いったいどないしよ?!」と間違った共感をして、ともに地獄入りするのはやめましょう。それをすると、あなたの光も風前の灯火となってしまいます。
あなたの穏やかさのなかにいつもどおりとどまって、そこからその方を味わい愛でながら、「こっちへおいで♡」と優しく引き上げてさしあげましょう。
あなたが正しいポジションで安らぎのなかにとどまることこそが、誰にとってもいちばんの助けとなるのです。
(「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子/ ヒプノセラピー・カウンセリング )