夜、なかなか寝つくことができない、という方も多くなってきています。
寝つくことができない原因はさまざまですが、そのひとつとしてあげられるのが「あれこれ考えてしまってアタマが休まらない」ということがあります。
眠ろうするとさまざまな思考やイメージが浮かんできて、それに対して不安な気持ちになり、その不安から新たな思考やイメージが浮かんできて、寝つけずにイライラしてしまうのです。これでは、不安とイライラの悪循環におちいってしまいます。
一方、思考やイメージが鎮まっていれば、呼吸はしだいに深くなり、自然に眠りにはいることができます。
では、寝つこうとするときについついあれこれ考えてしまうときには、どのように対処したらよいのでしょうか?
思考やイメージについて、私たちは「自分が思考やイメージを思い描いている」と考えがちです。しかしそうではありません。
もし自分がそうしているのなら、「もう、やめたい!」と思ったときにやめたり、上手に思考やイメージをコントロールできているはずです。
それができないとするならば、じつは思考やイメージは自分の意志とはまったく関係なく自然発生的に湧きあがってくるものだ、ということです。
たとえば、外で車の音や工事の音がしていても、まったく影響されずに眠りに落ちてしまうこともあります。
それは、その音に対して自分が注意をはらっていないからです。注意を向けていないものは、自分にとっては存在しなくなってしまいます。
もし発生している音に対して、「この音はうるさ過ぎる」とか「私の邪魔をしている」など、自分の注意がその音に固定されると、その音は自分にとってより鮮明で「うるさく」「邪魔をする」ものとして感じられるのです。
とりわけ、抵抗を感じるものに対しては、注意が固定されてしまい、自分の世界においてはそれがより強い力をもつようになります。
外から聞こえる音と同じように、思考やイメージがただ流れてゆく音と形であるのなら、闘わずにそのまま行かせてあげましょう。
今もこの文章を読んでいるときに、いろいろな音が存在しているかもしれません。けれども、そのように音に注意を向けるまで、まったく音の存在に気づいていなかったかもしれません。
思考やイメージを自分自身が作りだした所有物だと思うことで、私たちはそれらを私物化し、その内容に感情的に大きく影響を受けてしまいます。つまり、それらの思考やイメージを単なる音や形ではなく、ほんとうのことだと信じてしまうのです。すると、すっかりそれらに取りこまれて、一体になり、思考やイメージが示唆する不安な未来を受けいれてしまうのです。
そうすると、その架空の言葉やストーリーから、さらに別な言葉やストーリーが生まれ、どんどん本当ではない物語が紡がれてゆきます。
しかし、思考やイメージが自分とは関係のないランダムなものであるのならば、そこから距離をとって離れるようにしてみましょう。
それは、出てくる思考やイメージを客観的に眺めてみることです。
自分を不安にさせる言葉やイメージが出てきたら、それらに気づいて、カギかっこ「 」や枠 □ でくくって、客観的に距離をとって鑑賞してみましょう。
一体になっていたものからそのように離れてみると、それはじょじょに薄らいで消えてゆきます。注意を注がないことで静かになるのです。
このように、自分のなかで次々に湧きでてくる思考やイメージをカギかっこや枠を使って、離れてながめてみることで、思考やイメージは勢いを失ってゆくのです。それに取りこまれて、さらなる不安なストーリーをねつ造するのを止めることができます。
思考やイメージが出てくるのが減少したら、思考やイメージが出てきていたスペース(意識のスペース)へとゆったりと広がって、深い呼吸をしてくつろいでみましょう。
もしまた再び思考やイメージが出てきたら、ただカギかっこや枠でくくって、距離をおいてながめてあげるだけでよいのです。
自分自身は、その思考やイメージがあらわれてくるスペースとして、安らかにどこまでも広がってゆくイメージをしてみましょう。
このように、思考やイメージと距離をおいて客観的にながめることで、思考やイメージの勢いは和らぎ、静かになってきます。
そうすると、こころもしだいに落ち着いて、意識の広がりとしてゆったりとくつろぐことができます。
この意識のスペースを感じてあげることで、睡眠時間の長さに関係なく、深いリラックスを感じて心身ともにエネルギーを取りもどすことができます。
このスペースの広がりをたびたび感じることで、こころの落ち着きをとりもどすことができるのです。
また、このスペースの中にこそ、今抱えている問題を乗りこえてゆくためのインスピレーションや、あなたに幸せをもたらすためのひらめきが与えられます。
このスペースの安らぎのなかで、あなたの人生を導いてもらいましょう♪
(「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子/ ヒプノセラピー・カウンセリング )