山梨のお友だちからお家で作っていらっしゃる桃が届きました。
大きくって、真っ赤っか。
「あのとき」以来、毎年夏になると送ってくださるのです。
「あのとき」・・・とは、私とお友だち共通の人生最恐のホラー体験。
それは、かれこれ7〜8年まえのこと。
急にものが見えづらくなり、眼科の手術を受けなければならないことになったのです。それは、眼球の中身をカラッポにしたうえで、網膜のうえにかかってしまった膜を除去する手術で、そりゃあもうホラーそのものでした。
なぜなら、局所麻酔なので眼球に差しこまれる器具が網膜に影絵のように大写しになるのです。スクリーンいっぱいにフォークのようなものが映し出されている状態で、膜をクルクル巻きとる作業をしているのが丸見えです。
緊張気味のインターンの先生に「もっと左の方だよ〜」とか「まだ、残っているよ〜(汗)」とこころのなかでつっこみを入れておりました。
その器具たちが動き回る様子が、なぜかスターウォーズの戦闘シーンのように見えたものです。
手術室にはなにやら楽しげな音楽がしじゅう流れてはいたのですが、このときほど明るさが凍るほど不気味に感じたことはありません。
これがなんと4時間もかかり、最終的に病院から解放されるまでに一週間以上もかかってしまいました。
その間、身体を平らにできないので半分起きているような状態で眠ったり、また一日中点眼をしなければならなかったのです。
そんな恐怖の手術体験と入院生活をともにしたのがルームメイトだったそのお友だちでした。彼女もまったく同じ手術で、術後はうつぶせでしか寝られなかったのでもっと大変なご様子。
お互いお風呂はおろか、一週間も顔を洗えないので「もうカピカピだわね〜」なんて笑いながら、そんな日々を励まし合って過ごしたのでした。
もうあれからずいぶん経つのに家族のような親しさが感じられます。
桃のお礼でお電話をしたら、いつものごとく「あれは大変な体験だったけれど、でも毎日が楽しかったわね〜!」なんて、ホラー楽しい思い出話に花が咲くのです。