「私はゆるす。だから、これは消えてゆく」(ACIM L193)
「ゆるす」とは ・・・ それがそのように存在することをゆるすこと。自分がそんなふうに感じていることをゆるすこと。それがそのままであることをゆるすこと。受け容れること。味わいめでること。
「あるがままに感じてくださいね」 ・・・ これはセラピーでもよく口にする言葉であり、じつは癒しにおいてはとても大切なこと。
でもそう言われて、「そうなんですね!わかりました。そうします」とはなりません。たいてい、「え?あるがまま?それより、変えたいんですけど?!」ということになります。
だから、「あるがまま」ってすごく不人気なんです。みんなやりたくない。(やりたくないからこそ、そこに問題の原因があるのですが・・・。)
なぜ「あるがまま」がそんなに不人気なのか・・・
わたしたちがなにかをするとき、それはほとんど「あるがままになにかを感じること」を避けるためだから。
「やだ〜! わたしは、自分が気分がよくなるように感じたい!」 「あるがままなんて、つまらないし退屈。もっと違うなにかがいいんだ!」 「それをあるがままにほっとくなんて、すごく無抵抗で無力で、無能に感じる。まるでダメ人間みたい。変えるために挑むことこそ人生でしょ!」・・・ こんなセリフが聞こえてきます。
だから、わたしたちの日ごろの活動や思考は、このあるがままから逃れるためにする抵抗そのものであり、つねに違った自分になろうとする努力なのです。自力でもっと違う自分になる、もっと違う体験をする、もっと違う感じ方をする・・・。だから「あるがまま」なんてゴメンなんですよ〜 ・・・と。
じつは、これこそが「苦しみ」の元凶。
たとえば思考を例にとってみると、思考は一日に何万個も意識にあらわれます。もしも、そのひとつひとつにかまっていたら、実際、しなければならないことがなにひとつできなくなってしまいます。
だからというわけではないけれど、わたしたちはじゃんじゃん出てくる思考をそのまま行くにまかせています。「一瞬まえの思考ですって? 覚えてませんよ〜」と。つまりスルーしてるのです。
目のまえのさまざまなものごとも、日々感じる感情も ・・・ じつはこの思考と同じ原理です。意識のなかにやってきては、自然に消え去っていく。現れては、また去って行く。そのくりかえし。
どうでもいい考えに対してはすぐにスルーするすべを身につけているわたしたちですが、ついものごと、人、感情など、よりリアルに見えるもの、そして自分が好まないと決めたものに対しては、どうもスルーができません。同じように扱えないのです。
そう、あの「絶対かえてやるぞ!」モードに入っちゃう。
この「変えてやる!」モードのちょっかいが、ただ現れては消えてゆくものをじつはよりリアルなものに変えてしまうのです。
つまり、「変えるべきものだ」と抵抗することで、それをガン見して、判断して、いじくりまわして、さらにそのなかに飛びこんで、格闘して、離れられなくなって、まるでひとつになっちゃう。
抵抗してるときって、じつはこんなふうに問題に完全に食われている状態です。「スルー」どころではありません。
現実をささえているもの、ものごとをよりリアルにするもの ・・・・ それはじつは「注意」です。
だからこんなふうに抵抗して、問題をガン見して、いじくりまわして、かかわり続けることこそが、問題にしっかりと注意という栄養を与えることになっちゃうのです。ほんとうだったら、現れては自然に消え去っていくもののはずなのに・・・。
そこで「あるがままに感じてくださいね」という言葉が出てくるわけです。注意をめいっぱい注いでそれを育てずに、あるがままにしてあげ注意が注がれずにすぐになくなります。本来の場所へと消え去えさっていきます。
リラックスして、ただ「あるがまま」。
こんなに簡単に言うけれど、問題が起きているときにこれをするととてつもなくキョーフを感じます。言うほどにやさしくないのですね〜。
それでも、そんな気持ちさえ「あるがまま」「あるがまま」、ただ自分の意識のなかで両手を広げてそのまま感じてあげます。
すると、ちゃんと消えていきます。あのどうでもいい思考が知らないうちに消え去っているように。
そして、いつもそこに居座っているように感じていた慢性的な問題も、この「あるがままに感じる」ことを続けていくと、だんだん台風の精力が弱まるように弱体化してきて、自分を捕らえて放さないようなパワーななくなり、ついには姿を消していきます。
けれど、このプロセスの途上は「きゃ〜、死んじゃう」っていう気持ちに直面するかもしれません。この「死んじゃう」思いこそが、わたしたちが全力でものごとに抵抗する原因です。怖すぎるからこそ、今まで全力で避けてきたのです。思いっきり抵抗してきたのです。そして、その気持ちこそが、問題を慢性化させていたのです。
さあ、「死んじゃう」も両手を広げて感じてあげてください。新しい体験です。大丈夫、バッタリ死にません!
「死んじゃう!」が迫ってきたとき、それをよけないと、体のなかを通過してゆくのです。「あれ?すごいパワーがありそうだったけど、透明だった?」みたいな。
そして、「死んじゃう!」をそのままにしてあげると、新しい自分、自分のなかにあった平和とか愛とか幸せ感とかが新しく誕生してくるのです。
もしかすると、ちょっと難産に感じるかもしれません。でも、チャレンジするんだったら、「抵抗」にエネルギーを使うよりも、「死んじゃう!」に挑んでみましょう! Welcom 死んじゃう感じ! そして、あるがまま♪ あるがまま♪
(「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子/ ヒプノセラピー・カウンセリング )