昔ながらの X'mas カードや絵本のひとこまのような、うっとりするようなイヴの風景・・・。窓から見える静かな雪景色や、暖かな部屋にきらめく大きなツリーとたくさんのプレゼント。跳ねまわる犬やはしゃぐ子ども。おいしそうなご馳走がところせましと並べられたテーブル。プレゼントを抱えて集まってくる幸せそうな人たち。
これだけ見ていても、本場のクリスマスの美しい雰囲気にひたれます。
ここクーパー夫妻のもとに、父や母、妹、息子や娘、孫たち、そしてその恋人が集おうとしているのですが・・・とびっきり楽しい一夜かというと、それはあくまでおもてむき。
じつは、ひとりひとりが抜きさしならぬ問題を抱えていて、それで頭がいっぱい、爆発寸前。ホステスのシャーロットは密かに離婚を決意しているので、なんとしてもこのラストクリスマスディナーを完璧にしたいという思いでいっぱいなのですが。他の家族も同様で、“みんなの前でうまくいっている顔をするのも”“希望にみちた様子で来年の豊富を語るのも”ほとほとうんざりしているのです。
それぞれがギりギリの一日をなんとかやりすごして、クリスマスの晩餐が始まります。笑顔をつくりながらも、どこかピリピリ。口をひらいたら一気にすべての毒をぶちまけてしまいそうな、一触即発状態。
そこにある出来事が起きて、一気にデトックスがはじまります・・・。クリスマスだったからこそ、この浄化ともいえます。なんたって、とびきり美しく愛にみちた一夜ですから。やっぱり、問題解決は「つながること」+「愛」ですね。
たしかに、アメリカ人にとってクリスマスってとっても大切な日で、こんなふうに家族で集まることがない人がこの時期、ウツになる、というような話も耳にします。ひとりで過ごしたくはないけれど・・・でも、家族にあれこれ聞かれるのも、笑顔をふりまくのも苦痛なわけです(クーパー一家の場合はとくに・・・)。
わたしの好きな映画「ラブ・アクチュアリー」もクリスマスの日の人間模様だったけれど、この作品も似たようなテイストが感じられます。少しほろ苦くって、でもどこかコミカルで、愛があるお話なのでした。こころがほんわりします。クリスマスの時期に観たかったな〜。
「クーパー家の晩餐会」 涙壷度・・・★★☆☆☆(ホロっときました)
PS. シャーロット役のダイアン・キートン。歳をかさねても、変わらずステキです! 最近観た「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」でも、M・フリーマンと仲の良い夫婦を演じていました。この映画もよかったのですが ・・・ 神経症かと思うほどまくしたてるような英語のセリフが弾丸のごとく続き・・・ (M・フリーマンも「少し黙らせろ」と申しておりましたよ)。なぜそこまで強迫的にしゃべりまくるのか?! N.Y. らしさなのかもしれませんが、これを聞いていると頭が完全にフリーズします。その昔、こんな英語にさらされていた日々があり、防衛本能からかおもわず条件反射的にシャッターがおりてしまうクセが(自動的にスイッチがきれる) ・・・。おかげで爆睡でしたわ(笑)。