バレエダンサーのしなやかな跳躍。
とくに、男性ダンサーのジャンプのダイナミックさといったら! 空宙でも軸がぶれることなく型がぴたっときまっていて、まるでスローモーションのように見えるときもあります。そして、ふわりと着地。笑顔。
今、公演チケット詐欺ですっかり話題になっているダンサー、ポルーニン。彼のドキュメンタリーフィルム「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」、とってもよかったです。
ほんとに、彼のジャンプは優雅です。まるで重力とは別の世界にいるように見えるけれど ・・・内情といえば、超過酷。ほんとはボロボロなのですね。
「舞台は戦いだ」「情熱がなくなったら踊れない」とポルーニン。開演のベルがなるやサプリとスタミナドリンクを流しこみ、「これで痛みを忘れるし、だんだんハイになる」と ・・・ (いったい、なに飲んでるのだ?!)。
彼の踊りは、鬼気迫るものを感じます。
でも、一幕が終わった楽屋では、衣装の着替えすらままならないほど、体をなげだす疲れきった姿があります。
セルゲイ・ポルーニンは、ウクライナのバレエ学校にいるときから、すでに突出していて、最年少の19歳で英国ロイヤル・バレエに入団、あっというまにプリンシパル(・・・ その後、22歳であっさり退団)。
それは、人の何倍も練習する影の努力があってこそ。自分の学費を稼ぐために出稼ぎでバラバラになってしまった家族を、成功することで救いたい、もう一度ひとつにしたいという気持ちがあったから。でも、「情熱がなくなったら踊れない」という彼は、両親の離婚で踊るための決定的なモチベーションを失います。そこから、どんどんコワレていくのです。
体じゅう数十カ所の入れ墨、ドラッグ、すっぽかし、奇行 ・・・ それでも、踊り続けないと、すぐに踊れなくなるというジレンマ。牢獄にとじこめられたようで、「才能豊かな問題児」は葛藤します。
「もう自由になりたい!引退する!」 と、最後のフィルムを自分らしい作品にしようと情熱を傾けます。感情をぶつけるように床をころがりまわり、宙を舞う、コンテンポラリーなダンス。
そして、そのフィルムを撮り終わったら ・・・ 引退 ・・・ のはずが、ナント、ふっきれた! また「踊りたい」と。
天才と言われるような一流ダンサーの舞台裏、ほんとうに過酷ですね。
そして、磨き抜かれた筋肉そのものであるしなやかな肉体美、それを維持するためのたゆまぬ努力。 ・・・ 引退する日までそれをストイックに守りぬくのだな〜(ため息)。
バレエを観ていると、華やかなエトワールにばかり目がいってしまうけれど、男性プリンシパルの優雅でダイナミックな踊りにもご注目あれ。その演技に息をのみます。
↑ このみごとなジャンプ! ミロノフ先生みたい〜♡(これがわかった方は、かなりふるい!笑)
きれいな「上」の字、これはもじもじくんにスカウトされるかも。全身タイツでも似合うだろうから(笑)、問題なしですね!