アメリカが有人飛行計画で、ソ連に遅れをとるまいとしのぎを削っていた '60年のはじめ。それはまだ人の手にその膨大な計算をたよっていた時代。
そんな状況下、NASAでアポロ計画へと続く有人飛行計画をささえた影なる優秀な人物、三人の黒人女性の存在があったのです。
人種差別というハンディを背負いながらも日々奮闘する彼女たちの姿を描いた、実話をもとにしたストーリーです(原作「Hidden figures」)。
黒人社会で天才とうたわれた彼女たち。しかし、ところ変われば天国と地獄! ただでさえ、女性が男性と対等に働くことがまだまだ難しかった時代に、黒人という大きなハンディキャップは、当然輝けるはずの場をことごとくを奪ってゆくのです。
白人男性ばかりがぎっしり詰まった職場に配属された日、部屋に足を踏み入れるなり、あの異様なものを見るような冷たい目線といったら。そのうえ、お掃除のオバサンとしか見られずゴミをおしつけられ・・・。
また、「彼女は毎日40分も席にいないが何をしているんだ?」と上司がいぶかる事態が発生。 ・・・ じつは、雨の日も風の日も、「非白人女性」用トイレを求めて800m先のビルまでハイヒールで全力疾走する毎日。差別はこれだけにとどまりません。
こんなツライ状況に、ついにキレて感情を爆発させてしまうシーンでは、彼女と一緒に涙せずにはいられませんでした。
差別を解消するには「能力があっても何も変わらない。闘うしかないんだ」という見方もあるなか、彼女たちはひたすら正直に向き合うことと、そして女性ならではの柔軟さで、ついには信頼を勝ち取り、そのポジションをゆるぎないものにしてゆきます。
でも、彼女たちはただただ仕事に打ち込みすべてを犠牲にしてしまうようなキャリア志向の女性ではなく、シングルマザーで子育てをしていたり、恋愛中だったり ・・・ キャリアというものが生活のなかで切り離されているのではなく、とても自然に自分の生きる道をひとつになっている感じがします。
ちょっと仕事で行き詰まっている方、前向きなパワーを感じたい方、オススメです!
涙壷度:★★☆☆☆(いつだって、魂の叫びには心が動かされます)
それにしても、'60年代のアメリカでさえ、まだこんな状況だったのだな〜 ・・・ 世の中というのはなかなか変わらないようでありながらも、50年余でもどんどん意識が変化しているのを感じます。
ここからまた50年たったら ・・・ 2017年って、あんなヘンなことしてたのね〜、あんなおかしな考えしてたのね、あんなに不自由だったのね、ということになるのでしょうね(残念ながら、見られそうにありません・・・汗)。