18-10-07 “私”から生まれる問題

ことばには、力があります。

ポジティブなことばを使えば、こころは前向きに立ちあがってくるし、ネガティブなことばばかりだと、こころは空気が抜けたようになります。

そんなことばのもつ魔法の力は、もっと大きなところでも働いています。

ことばがないところでは、世界は一枚の絵のように存在しています。

ことばがあらわれてモノゴトをひとつづつ切りとるまでは、それはひとつでありつづけます(「それ」といわなければ「あれ」はなく、「私」といわなければ「あなた」は存在しません)。

だから、いったん「私」ということばが発せられると、「私」と世界が一気に分裂します。

「私」vs あなた、「私」vs そこにある木、「私」vs 病原菌、「私」vs お金、「私」vs 私以外の75億数千万人、「私」vs 銀河系の星々、「私」vs あれや、これや、それや ・・・ 「私」がいるやいなや、ひとつだったものがバラバラになり、「私」が相手をしなければならない雑多なものに圧倒されてしまいます。

でも、「私」という考えがなくなると、見ているものはひとつのイメージとして自分の意識のなかに存在しているだけとなります。目にしているもの全体、つまり世界全体が「私」になってしまいます。

ことばがなければ「私」はいなくなり、そのように考えというものがない状態のときには、じつはどこにも問題が存在できなくなります。

問題は、「あれが私を困らせる!」と決めつけたときに、はじめて自分にとっての問題となります。「私」も考えもないときには問題はなく、ただのあるがままだけがあります。

「私がどんな存在であるか」が目にするものを決めるので、どのポジションから見ようとするのかによって、見えてくるものがまったく変わってきます。

自分をこの大きな宇宙のなかにポツンと存在するほんの小さな点にすることもできるし、あるいはすべてを自分のなかにもつ至高の存在に戻してあげることもできるのです。それは自分のことば(考え)しだいなのですね。

☆スポーツ選手がよくいうゾーンといわれる状態は、まさに「私」がいない状態なので、ひとつとしての完璧さがあります。だからこそ、個の「私」をこえた力が働くのですね。自意識が強くなると、自分をどんどん小さくしてしまうので、結局自分の邪魔をしてしまうことになります ☆

 

 

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