クリント・イーストウッドの監督作品はどれも大好き♡
どのストーリーも、性別、年齢、境遇をこえて登場人物のこころの動きや葛藤に引きこまれてしまいます。
けれど、好きといいつつまだ観ていない作品もいくつかあって、そのひとつがこの「パーフェクト ワールド」。
殺人犯であるブッチ(ケビン・コスナー)が、刑務所からみごとに脱獄し、逃走途中で小さな男の子を人質にとり、またも殺人を重ねながら、追っ手をかわし逃走をつづけるというお話。それを追う警察署長が監督でもあるクリント・イーストウッドで、この署長はかつてブッチにかかわった人物なのです。
ドキドキするような映画はいろいろ観てきたけれど、劇場鑑賞ではないのをいいことに「ああ〜〜!やめて〜〜〜!(汗)」と何度か叫んでしまったし、見ていられずに目をおおった場面も。
ブッチはどこか脱獄囚のイメージとは違って、人間味のある優しさがあって、常識ももちあわせているし、また頭の回転も早いのです。その一方で、ある状況におかれると即座にこころは怒りに支配されてしまい、容赦のない残酷さが顔をのぞかせるのです。
その怒りのポイントにふれなければ、彼はそのもちまえの人柄からよい人生を送れたはずなのに。
彼がキレるポイントは彼の生い立ちに関わることで、こころの癒されていない傷がうずくような場面では怒りからの行動がおさえられず凶暴になります。それも、自分のこころの痛みを必死に隠すための凶暴さなのですが。
ブッチと人質となった八歳の男の子はともに、父親の愛に飢えていて、同じような思いをかかえて少年時代を過ごしているために、ふたりがは時間をともに過ごすうちに親子のような、また相棒とも呼べるような絆が芽生えはじめます。
脱獄囚と連れまわされている人質であるはずなのに、この二人の様子を見ていると、誰も傷つけることなく安全に生きのびてほしいと願わずにいられません(だから、ハラハラする〜〜〜!汗)。
このふたりがともに過ごすことができるなら、ブッチはこの少年の面倒を見ながら自分のなかの傷を負ったこどもを癒すことができるだろうし、少年はふれたことのない父性をブッチから受けとって自信をつけ解放されることでしょう・・・。
この作品は1994年に公開されていますが、その当時に観るよりも、トシを重ねた今観るからこそ、さまざまな思いを感じとることができるのかもしれません。
涙壷度:★★★☆☆(もれなく泣けます! ケビン・コスナーのこんな悪役もいいわ〜♡)