ベイリーという一匹の犬目線で語られる、ラッセ・ハルストレム監督の作品。
イーサン少年に愛されたベイリーは、イーサンが青年になり、おじさんになり、やがて老いて亡くなるまで、大型犬になったり、小型犬になったり、健気に何度も生まれかわってきます。さらに、イーサンが亡くなったあとも・・・。
続編の「僕のワンダフル・ジャーニー」を含めると、通算六回も! まさ間髪入れずに、じゃんじゃんという感じで転生してくるのです。
なぜなら、彼には大切な目的があるから。
見ていて、これは犬ごとではなく人の物語のように感じました。
自分がすべきことをちゃんと成しとけるまで、まるでバネで引き戻されるように、あっというまに戻ってきちゃう。
ベイリーのエライところは、何度生まれかわろうとも自分の目的にまったくブレがないところ。
ちゃんと覚えていて、嗅覚を武器にわき目もふらずにそこに突き進みます。(私たち人間ときたら 、あっちにふらふら、こっちにふらふら・・・汗)。
しかし、いくらベイリーが目的に忠実であっても、なんせ犬なので言葉が使えません。お目あての相手を見つけても、「ホラ!あのときのボクだよ!覚えてるだろっっ!?」て伝えられないのがたまにきず。
一方、言葉が使える私たちは、自分の不正直な言葉に自分で自分が騙されるしまつ。目的にも一貫性がなく、ちょっとばかり見た目がいいものにはすぐに飛びつき ・・・ そのため、何度やってきても成果があがらずじまいです(汗)。
やるべきことを覚えていても話せないのと、何も覚えていないけれど自由に話せるのと・・・どっちがいいのやら?!(苦笑)
犬はあらゆる情報を鼻でキャッチします。嗅覚をたよりに未来を予測し、素早く行動しているのです。(嗅覚は人間の10万倍ですと?!)。
「まずいことが起こりそう」とか「ハッピーなことが進行している」とか、人の感情も「甘い匂い」とか「いやな匂い」とか鼻で嗅ぎわけて、コトが起こるまえにすばやく危険を回避するのです。嗅覚はまさに、犬のインスピレーションともいえます。
この嗅ぎわける素早さとそれを完全に信頼するこころ、見習わなくちゃね。私たちには鼻ではなくこころで感じる直感があるにもかかわらず、自分のこころでさえも信頼しきれていませんもの。
ベイリーが何度も何度も生まれかわってくる目的はただひとつ。たとえ違う自分になったとしてもしっかりこころに刻まれていて、その目的のためなら野をこえ、山をこえ、街をかけぬけ、目的に向かって一直線。
この使命に捧げられたまったくブレないまっすぐなこころに大いに学ばされます。
愛犬家さんにはたまらないお話ですが、そうでなくても大切なことをたくさん思い出させてもらえる作品です。
(予告を見る→「僕のワンダフル・ライフ」「僕のワンダフル・ジャーニー」)
PS ラッセ・ホルストレム監督作品のオススメは、「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」。こちらは犬になりたい少年のお話。あと、「ギルバート‥グレイプ」「サイダー・ハウスルール」も好きです。
他に、こちらも楽しめます。
*「ショコラ」めずらしくジョニー・デップが厚塗りなしでイケメンを演じています。もれなくチョコが食べたくなる作品。
*「マダム マロリーと魔法のスパイス」星つきフランス料理店の真向かいに開店した移民が営むインド料理店。このはりあい方がおかしい。これインドの映画だっけ?と思ってしまうようなノリのよさと色彩にあふれた楽しい作品です。