友人のお誘いで試写会へ。米国を代表する詩人、シルヴィア・プラスが30才で自らの命をたつまでの結婚生活を描いた作品です。才色兼備であることを自ら認めてしまうほどの美貌と才気にあるれたシルヴィア。そして同じく詩人であるテッド・ヒューズの才能に惚れ込んで妻となり、2児をもうけるのです。しかし、このへんからがスゴイ。やはり物書きのサガなのか、創造力がバンバンふくらんでありもしないストーリー(夫の浮気)をでっちあげ、二人の人生を次々に破壊してゆく様は手がつけられないほど悲惨そのもの。彼女の妄想を見ながら「ちょっとちょっと!何も起こってないんじゃないの?」とチャチャを入れたくなるぐらい。彼女の両親についてはほとんど描写されていないのですが、それでも彼女が父親からの愛の欠乏感に苦しめられていたのは手にとるようです。その乾いた心は、どんな愛をあたえられようとも受けとれず、まるで干涸びた大地のようにすべてを吸い尽くし、まわりをも枯れさせてしまうのです。彼女の死後与えられたピューリッツァー賞も、そんな鋭敏な感性あってこそのもの。皮肉なものです。
お茶の間シネマトーク「シルヴィア」
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