しあわせなひととき

"昨晩、雨上がりの西郷山まで歩いた。しめった土の匂いは暖かい。おもわず深呼吸するとフワリとなつかしい匂いが・・。心の結び目が、思わずはらりとほどけそうなやさしい匂い。あぁ、梅が満開だ。闇の中に浮かびあがる白梅、京の和菓子のような紅梅。細い枝の先までびっしり小さな花をつけている。なんだかその姿がけなげで、もうずいぶん古くなった幹をなでながら話しかけた。すると、また。やさしい匂いが、ふわりとわたしを包みこんだ。"