お茶の間シネマトーク「そして、ひと粒のひかり」

自分の知らない世界というのは多々あるものですが、そんないろいろをかいま見せてくれるのが映画の楽しさ。では、ミュールと呼ばれる麻薬の運び屋ワールドなんていかがでしょう?

ただ運べばいいというわけはなく、少々身体をはる必要あり。それは、小さなゴムの袋に詰められたドラッグを丸呑みし胃の中に隠し持って、コロンビアからNYへと渡るのです。ドキュメンタリーフィルムのようにたんたんと語られてゆくその様子が、かえって臨場感を高めるのか、はらはらどきどきミュール疑似体験ができます。

主人公のマリアが、大きなブドウ粒大のドラッグを渡されて、それを必死に60個以上飲み込んでゆく様子やら、機内で気分が悪くなりトイレに立ってしまう不測の事態やら、なんとか入国審査をパスしたかと思いきやおもわぬところで捕まってしまいレントゲン検査を強制されたり・・と、観てるまに人ごとではなくなっていきます。しかし、他のミュールが手錠をかけられたり、命をおとすなか、マリアは強運を発揮するのです。彼女の物怖じしないキッパリとした性格が、天を見方につけてゆくように。事件に巻き込まれながらも、ついには自分の新天地を求めてスタートをきるマリア・・・。軟体動物になりすぎた私たち日本人に喝を入れてくれる一本かもしれません!