お茶の間シネマトーク「SAYURI」

とってもシリアスな映画なのに、場面場面で客席にひそひそ声やらクスクス笑いが起こるのです。いろいろ噂は聞いておりましたが、やっぱりまさに「ここがヘンだよ!(この)日本人」と、かさねがさね口を出したくなってしまう一本です。ストーリーに集中したいのに、どうも間違い探しに注意がいってしまうフラストレーションまんぱい。

たとえば、相撲取りがシコをふむシーンで、なぜか土俵が板の間のようなちゃちな音がするとか(製作費の都合ではないでしょう)。それに、「満員御礼」という札の文字がまるで小学生の習字みたい(いや、小学生に悪い)。そのうえ、着物の着付けもたるみっぱなし・・・と、枚挙にいとまがありません。きわめつけは、京都の夕暮れのシルエットとか満開の桜の場面では、ナンか味気ない。これは、日本独特の湿度とか風とかを感じさせる空気感がないのに気がつきました。

そりゃ、「パール・ハーバー」やら「ベスト・キッド」やら、今まで外国の監督さんが描く日本の場面にはつねに「ありゃりゃ!」がつきものですが。しかし、「スシ」「スキヤキ」レベルで世界で通じる「ゲイシャ」ということばが、ここでは舞妓はんと同レベルになっているではありませんか〜。いっそのこと、これは「京都」でも「日本」でもない!ときめこんで見ていただいたほうが、内心スッキリするかもしれませんわ(笑)。

それはさておき、置屋のおかみ役の桃井かおり。彼女は監督のロブ・マーシャルに逆演技指導をしてしまったそうで、ハリウッドに行こうがどこに行こうが、あのマイペースの桃井節と桃井テイストはまったく健在でありました〜。あっぱれあっぱれ。