大雨のなか、死生学、ターミナル・ケアを研究されているN教授の講義へ。
なんとこの日、N教授は聖路加病院から抜け出して、教壇に立たれていたのです。じつは、3ヶ月前、ひょんなことから飲んだ胃カメラで突然ガンが発見され、緊急手術をされました。胃とその周辺の臓器を摘出され、その後も炎症がつづきお食事もできない状態で20数キロ痩せられて入院されているのです。
ご本人いわく、青天の霹靂のガン発症と闘病生活。くしくも、ご自分の研究とご自分の体験を重ね合わせることとなりました。
この日は、あまり声もお出しになれない状態でありながら、E.キューブラーロス博士の「喪失の6段階」をご自分の体験と比較しながら、リアルな講義をしてくださいました。振り絞るような2時間余り。時間がくると、おもわず両手で顔をおおい涙を流される先生の姿に、聴講させていただいた私も涙が止まりませんでした。
千のことばよりも万のことばよりも雄弁なのは、ただその人の「生きざま」なのだと感じます。まさに、いのちを削るがとごくの貴重な講義、胸に刻み込みました。
私自身、この夏には「生と死」を考えるワークショップを開いたこともあって、よりよい充実した人生を生きるためには「死」としっかり向き合うことがなによりも大切であると感じます。
記録的な暴風雨のごとく、私の心の中にもあつい想いが吹きあれた一夜でした。