お茶の間シネマトーク  愛のかたち、いろいろ

暑〜いところに、お熱い映画を二本。

まずは、巨匠リチャード・アッテンボローの「あの日の指輪を待つきみへ」

ある日、ひとつの指輪がはるばる海をわたって老女(シャーリー・マクレーン)のところに届けられます。それは、50年も前に結婚を誓った恋人が戦死した地で見つけられたもの。

ここから、この老女の心の封印がとかれたように、癒されないまま葬られたひとつの恋ともういちど遭遇することになります。しかし、ほんとうは封印なんてされていなかったのです。50年間、彼女はその恋を胸に抱き続けてきたのでした。


そして、もう一本はわたしも好きなコロンビアのノーベル賞作家、ガルシア=マルケス原作の「コレラの時代の愛」。こちらの作品はコレラが流行った時代と、まるで熱病のような恋愛とを重ね合わせています。

一本目に負けていません、こちらの主人公のフロレンティーノは、ナントさきほどの50年を上回り、51年と9ヶ月と4日、愛する人をひたすら待ちつづけるのです。ついに愛する人のだんなさんが亡くなるや、かつての恋人の前に姿をあらわし求愛するフロレンティーノ。結果は、激い拒絶・・・。

人は、「さっさと気持ちを入れかえて新しい恋をさがしたら、51年と9ヶ月と4日はもっと穏やかだったろうに・・・」と言うかもしれません。でも、これが彼の「愛し方」そのものだったのでしょうね。
さて、この半世紀をこえる片思いのゆくえとは・・・。

わたしたちは、なんにしても心のなかでしっかり折りあいをつけないと前進することはできません。1時間で折り合いをつけちゃう人もいれば、50年といのもあり・・・。まさに、人生とは本人の「選択」そのものだな〜と感じます。フロレンティーノにとっての選択は、幸せであるかとか不幸であるか・・・ということをこえて、そこまでコテコテな恋愛の醍醐味を体験することに意義があったのでしょうね。