お茶の間シネマトーク 「おじいちゃんバンド?」

最近「ヤング@ハート」という、おじいちゃん「コーラス」の映画が人気でしたね(わたしは観ていないのですが)。

一方、こちらは「ロックバンド」。ドラムスがよわい67歳、ボーカルとギターは弱冠若くて65歳。ロッカーゆえに多少トシよりは若く見えたとしても、まあそれなりのグループを想像することでしょう。でもね〜、「度肝をぬく」とはこのこと!

じつはこれ、マーチン・スコセッシ監督のローリングストーンズ ライブ・ドキュメンタリー「シャイン・ア・ライト」。まったく、おそるべしローリングストーンズ、おそるべしミック ジャガーです。

わたしはストーンズファンというわけではないのですが、'90年の初来日にコンサートに行きました。東京ドーム!あのとき、カリスマバンドとして有名なストーンズとミック ジャガーのすごさを思い知らされましたよ。ファンでなくてもすっかり夢中。これぞ、世界に君臨するロックバンド。ミック独特のくねくねダンスと、ステージ狭しとダッシュで走りまわる姿。パワフルでした。

しか〜し、御年65歳にして、さらにそれがパワーアップしているとは(唖然)。あの声量、声ののび。身体のキレ、くねくねダンスの怪しさ・・・。衰えというものがない・・・。昔からミックは老け顔だったので、お顔もあまり変わっていないような。

このフィルムはライブの前の打ち合わせの様子から始まるのですが、コンサート直前になっても曲目リストがストーンズから渡されず監督がいらいらする様子やら、ステージ直前にクリントン前大統領一家ご一行さまが興奮してやってくる様子やら、臨場感にあふれながらステージへと突入していきます。

スタジアムのような大きなところでしか演奏しないストーンズにしては、この会場はこじんまりしていて、まるでオペラ座のようなクラッシックな雰囲気があります。いったい何台カメラを使ったのかと思うようなライブ感。そして、劇場とライトが醸し出す色合いも美しいです。何よりもバンドメンバーの仲のよさ、楽しんでいる感じがイイ!

しかし、このミックやキースのカリスマ性と年齢を超越したパワー!演奏中に見せる彼らの至福の表情から、ああこれは脳内ホルモン大放出だな〜という感じです。だから、こんなとんでもない若さを維持しているのですね。それに、まったくうまくやろうとか、感動させようなんて思ってもいない。「みんな、勝手に楽しんでるね〜!」と観客に声をかけるミック。

まったく衰えぬ若さ、パワーにびっくりしますが、それよりもびっくりすること。それは、45年も初代のメンバーでバンドを続けていること。この人間関係のむずかしい世の中、そしてすべてが人間関係から破綻する世の中で、この人たちは気負わず、力まず、仕事も人間関係もお金も、すべて楽しみながらベストなものを生み出してしまうのです。

最近のインタビューで、「70になってもやっていますか?」の質問に、ミックは「わからないよ〜」。しかし、キースは、「あとたった5年先だよ〜」と大笑いしていました

言葉でななく、彼らのパフォーマンスからいろいろなメッセージやインスピレーションがやってきます。パワーがほしいとき、おススメの一本です。