お茶の間シネマトーク 「私の中のあなた」

わずか11才の女の子が自分の権利を守るため両親を訴えます。なぜなら、この子は白血病の姉を救うため、遺伝子操作で生まれてきた妹、つまりドナー。「わたしはボディーパーツを提供するためにデザインされた」と弁護士を訪ねるのです。

でも、母は母として「娘を一人失うかもしれない」という絶望に直面しきれず、救うためなら手段をいとわない。というか、何が人を傷つけるのかわからない状態。また、ドナーのその娘は、「わたしはもう切り刻まれるのはごめんだ」という思いと「姉が病気じゃなかったら、わたしは生まれてこなかった」という事実に深く傷つきます。そして、白血病の長女は長女で、じつは両親に隠している本心、意図があり、それを達成したい。それをドナーの妹は知っているのです。母と姉妹の思いが交錯し・・・さてどうなる?

この物語を見る限り、キャメロン・ディアス演じる母親はエゴのかたまりのよう。でも、娘を救える可能性が少しでも残されていたら、母親として素直にその道を選ぶのかもしれません。それは、その立場に立ってみないとわからない。誰も裁くことができないのです。

上の娘の病がすすめばすすむほど、家族の関係はすさんでゆきます。結局のところ、それぞれの思惑をこえて、いくら母親がジタバタしようとも現実はなるようになってゆくのですが・・・。すべてのいさかいも愛するためであり、最後には現実を受け入れて純粋な愛へと昇華してゆきます。

わたしたちは、愛する人がどんな状態でも少しでも長く生きてくれることを願います。本人の意向とは関係なくチューブや器具につなぎとめ、ありとあらゆる投薬を施し、なんとか息だけでもさせ続けようと努力します・・・。でも、もしそれが本人の魂が決めた終わりのときであるなら、本人が決めて去って行くのを尊重してあげなければならないのですよね。生かしておこうと不自然な努力をするのは、結局失う悲しみからのエゴであったりします。

涙壷度:★★★★☆(かなり泣けます)

ドナー役の娘を演じているアビゲイル・ブレスリンはスゴイです。すごい存在感。同じく子役からスタートしたジョディ・フォスターを彷彿とさせます。アビゲイルもきっと同じようなカリスマのある女優さんになりそう。そういえば、ジョディとアビゲイルは「ニムズ アイランド(邦題、忘れた・・・)で共演していまたね〜。