「ココロには時間の概念がない」といいます。なので、わたしたちは数十年前のココロのままで生きていたりするのです。つまり、こどものまま。
「ふ〜ん、そんな人いるのか〜」と思っているあなた、例外ではありませんよ〜。
たとえば、こどもの頃、親に言われたひとことがいつまでたっても自己イメージになっている場合があります。その昔、顔が丸かったわたしは、お月さまのようだと母に言われましたっけ。そして、大人になって美容院で髪型を決めていたときのこと。「わたし、お月さまのように顔が丸いから・・・」とつぶやくと、美容師さんが真顔で「お客さまは全然丸顔じゃないです、タマゴ型!」と断言。そのときは、「この美容師さん、わたしをなぐさめてる?」とさえ思ったものです。しかし、その後、何人かに「たかちゃんは、タマゴ型」と言われたこともあり、ようやく認識のゆがみを正すことができました。「丸顔だと信じてきたけど、どうやら違うらしい」と。嗚呼・・・三つ子の魂、百まで・・・。現状をまったく把握していませんでした。
権威の象徴である親や親しい人に言われたことは、普遍的な真実として受けいれられ、自分の固定したイメージとなって後生大事にキープされてゆくのです。
こどもの頃、いじめられて育った人も同様。あれはとうの昔のことなのに、今でも「わたしはいじめられる存在だ」と信じ、怖れを感じているのです。もう、そのいじめっ子もいないし、自分だってそんなに弱くはないのに。いくら成長して過去の自分とは似つかない自分になっても、ココロの刷り込みは依然むかしのまま。昔のイメージを確固として持ち続け、過去の自分に生きているのです。
さて、先日いらしたM子さん。突然上司に「この仕事は君にはあっていないから違う仕事をしなさい」と5年も積み上げてきた仕事をあっけなく変えられてしまったそうです。
いつも勉強熱心でチャレンジ精神旺盛なM子さんは、「ステイタスと将来性のあるポジションを奪われてショックです・・」と、落ち込んでいます。しかし、いっぽうで「本当のところ、この仕事好きじゃなかったんです。ストレスが多すぎるし」・・・と本音もチラリ。
まあ、潜在意識の中にある本音はやがて現実化するので、「結局、本音が実現した」ということですが、それでもどこか納得がいかない様子。
彼女にとっては、「がんがん勉強して」「がんがん実力をつけて」「がんがん仕事をして」「がんがん昇進して」「がんがんお金をかせぎたい」、そして「がんがん成功する」、それが憧れ。そのためには、常に自己啓発にいそしみ、読書をかかさず、ステップアップの資格のためには努力をいとわず。でも、かなり強迫的な前進の仕方で、端から見て大変そうだし当のご本人もまったく楽しんでいないようです。
そこで、聞いてみました。「もし、神様が”成功”か”楽しみ”かどちらかをくれるとしたら、どっちがいい?」 間髪入れずにかえってきた答えは「楽しみ!!」
あらあら、こんなに努力して、こんなにステップアップを重ねてきても、結局とところ「成功」はどうでもいいんだ〜・・・ふ〜ん・・・とわたし。
ただ”楽しみ”をとりたいってことは、ほんとうは”成功”なんてどうでもいい!!そもそも、成功への道のりはハッピーじゃないし・・・。けれど、どうでもよくない理由がありそうです。彼女を成功にむけて突っ走らせる、彼女もわかっていない思い込みが。わたしたちは、アタマでは「ああだ」「こうだ」と理由づけをしますが、ホントのホントの理由ってあんがい本人も分かっていないものです。
では、何がいったい彼女をつき動かしているのでしょう?彼女はどんな「こどものココロ」を生きているのでしょう?