お母さんの癒しはセラピーのキモ!

不登校やひきこもりを専門に扱われ、数々の講演会をされているカウンセラーの安川雅史さんのお話しを聴きに行ってきました。

「オフィス・るん」のセッションでも、ひきこもりの問題をご相談される方は年々増加しています。年齢層も子どもさん、学生さんから、もう数十年にもわたるひきこもりの方まで。

ご本人自ら問題を持ち込まれることはめったになく、たいていはご両親から「うちの子をどうにかしてください」というご相談です。

「うちの子をどうにかしたい」という親御さんに「ではまず、ご自身(両親)のカウンセリングからはじめましょう!」と申し上げると、ひっくり返るるほどびっくりされます。「問題はわたしじゃなくって、ウチの子ですよ!あなた、いったい何を考えているの?」と言わんばかりです。

でも、今まで当のひきこもりさんに会ったことはほとんどなく、ご両親、とくにお母さまのセッションをすることによってほとんどのケースを解決してきました。不思議なことにお母さまが癒されると、お子さんはお部屋から外に出てこられるようになるのです!これはひきこもりに限らず、お子さんの病気などの場合もお母さまのセラピーで癒されてしまうケースが多いのです。

お母さまにしてみたら、ちょっとこの事実は耳が痛いかもしれません。でもわたしたち、とくに親子はしっかりと潜在意識で結ばれているので、お母さまのココロをちょっと変えるとお子さんの精神状態も変化するものなのです。

それに、こんな実験結果もあります。お母さんと生まれたばかりの子どもの粘膜細胞を採取して、それぞれ別の部屋へ持ってゆきます。そしてお母さんの細胞に刺激を与えると、即座に離れたところある採取した子どもの細胞が反応するというもの。親子はこのようにつねに密につながり合っているし、たとえ親子でなくてもわたしたちは「みんな」しっかりとつながりあっているものなのですね。

家族のパターン(コミュニケーションスタイルや感情の持ち方など)は、親から子へと代々受け継がれてゆきます。それが良いパターンであれ、役に立たないパターンであれ、無意識のうちに学習されてゆくものです。それがダメージを与えるものであっても、それしか知らないとそのやり方が正しいことだと思ってしまいます。

問題の原因のほとんどは、親のココロのにあるぽっかりとあいた空虚な穴が「埋めてくれ」と子どもにその矛先を向けてしまうことです。親自身が自分の親に真に向き合ってもらった経験がないため、自分の子どもにもちゃんと向き合うことができず、それが子どもの心のひずみの原因となります。また、親自身のパートナーシップがうまくいっていないため、足りない分の愛情(本来はだんなさんからの愛情)やサポートや同意を子どもからもらおうと、子どもを自分の道具にしてしまう場合もあります。あるいは、親自身が現在の生活に不安や欲求不満を感じているため、その不安定さを子どもがすべて感じとり吸収してしまうよな場合もあります。

お母さまのココロのひずみが子どもに伝染してしまうのです。

お母さまが子どもの状態がどうであろうと、どっしりと構えて、「何があっても、あなたがどんな状態でも、お母さんはあなたの味方!あなたのことを愛しているのよ」ということを面と向かってしっかりと何度も地道に伝えてゆくことがどれだけ大切なことか。

「しっかりと向き合うこと」「愛情をていねいに伝えること(わかってるでしょ!はダメ)」・・・これをお母さん自身が体験していないため、身についていないことが問題なのです。

安川さんも、まず親のカウンセリング、そして逃げずにしっかりと愛情を伝えることだとおっしゃっていました(本当にそうですよね!やっぱり「愛」です!)

わたしたちはどんな問題に直面しようとも、まず自分と向き合い、自分をどうにかすることでしか問題を解決することができないのです。結局、子どもといえども他の人をコントロールすることはできないし、変えることもできないし、自分の思いどおりにしたいと思ってしまうこと自体が間違いなのです。

そうなると、問題を解決しようなどと思わずに、まずはすべてを「よし」として受けとめ、そこから真のコミュニケーションをスタートしてゆく必要があります。

そして、もし目の前に問題があるのであれば、それは「自分自身を変えなさい」「自分が成長できるチャンスですよ」「もっと幸せになることができますよ」と教えてくれているのです。まずは、自分をしっかりと見つめて、思いやりを持って自分を癒すこと!自分が穏やかになり静かな愛情で満たされたとき、きっと自分の目にも同じものが見つかるのでしょう。