気づきの日記「憑依されてる(?)わたしたち」

心配ごとを考えすぎて、頭がぱんぱん!そして、頭の中の声が止まらないっ!自分でさえ、その声にヘキエキしてしまう、ってことありますよね。

「誰か、このおしゃべりを止めて〜!」と思っても、止まりません。コントロールしようとすると、さらにうるさくなります・・・・おかしいですよね。自分の頭の中の声なのに。

自分の声が制御不能って、どういうことでしょ?

こんなとき、じつは「本当の自分はお留守」・・・というか、スミに追いやられて、他の人格(怖れ、不安、怒り、悲しみなど)が自分を乗っとっている状態。つまり・・・感情の憑依状態。

そもそも、わたしたちの中には二人の自分が住んでいます。「感情的で怖がりでおしゃべりな自分」と「それをじっと観察している静かで穏やかな自分」。でも悲しいことに、わたしたちはたいてい、ニセモノの方を自分だと思っているのです。つまりニセモノとは、おしゃべりな自分、次から次へと沸き上がる頭の中の声。ひっきりなしに心配したり、怒ったり、人も自分も責めて、文句を言う。そのうえ、めったに褒めてはくれません。しょっちゅう登場してきて、常にああだこうだ言うけれど・・・、じつは、この声を冷静に聞いているもう一人の自分がいます。「ああ〜、またはじまったね」と、静かにそれを眺めている自分。

考えているんだから、それがホンモノじゃないの?と思いますか?考えていても、冷静に「そう考えている自分」に気づいている意識があります。

そうです!この後ろから冷静に眺めているのがホンモノの自分。でも・・・この二人は共存できないのです。ぶつぶつうるさい「感情の憑依くん」にパワーを渡してしまうと、あっというまにホンモノはかき消えて姿をなくしてしまいます。一方、ぶつぶつ「感情の憑依くん」にパワーを渡さず、ホンモノの自分がずっとそれを静かに観察していると、ぶつぶつくんは消えていってくれるのです・・・が、これがなかなかできなかったりします・・・汗。

わたしたちは本当の自分でいることよりも、ほとんど感情の憑依状態で過ごしているようなものなのです。ある感情に乗っとられている・・・でも感情は、じつは自分自身ではないとは・・・。刺激が加わると現れる、条件反射的なもの。そして、その感情に支配されて、無意識的に次々と行動を起こしてしまいます。(ちゃんと考えてるよ!って?いえいえ、憑依した声に従っているにすぎません。)

この声は、仕事も人間関係も、そして自分自身さえも、めちゃくちゃにしてしまうことがあります。なぜなら、その声は怖れに満ちていて、近視眼的で、自分にも人にも、とてもイジワルです。この声に従っていると、どんどん被害者チックで可哀想なわたしになっていきます。

人で賑わう渋谷のスクランブル交差点にしろ、ごったがえす原宿の竹下通りにしろ、自分の感情にのっとられた憑依状態の人たちがわやわやとひしめきあっている・・・というわけです。(ゾンビ映画のようですね〜・・・)

わたしは常々、「セラピストって、エクソシストだ」って思うのです。セラピーもエクソシストも似ているのです。なぜなら、どちらも、何かに乗っとられ、その乗っとられた人は完全に何かに支配されて、別人格。それを、セラピーするわたしは毎日、その感情に憑依されたクライエントさんから「悪魔払い」をしているのす。(オドロオドロしい?・・・)

なんてったって、ココロが「過去」や「未来」に漂い出したがために、お留守のうちに怖れや欲望や自分を苦しめる感影にすっかり乗っとられてしまいます。その乗っとっている感情や考えを取り除き、「今、ここ」の正気に戻すという・・・まあ、ある種のお祓い。

霊であろうが、ネガティブな考え、怖れ、欲望であろうが、とにかく憑依されないためには、ココロがお出かけしないこと。ちゃんと自分の身体と一緒に、「今、ここ」に根をはっていることが大切です。

それは、過去をイジイジ思い出して後悔したり、未来をざわざおもいやってわ心配したり、あるいは人を批判したり、指図したり、誰かに夢中になりすぎたりして、人さまの現実にちょっかいを出しすぎないことです。これらをしているときには、わたしたちは自分がお留守になっています・・・過去へ行ったり、未来へ飛んだり、人さまの現実に介入したり。

ひたすら、「今、この瞬間」の自分と仲良くすること。

この瞬間とお友だちになればなるほど、もちろんココロがお出かけして憑依されなくなるし、何よりも今まで気がつかなかった美しいものが見えてきます。

そして・・・そして・・・今、ここにいればいるほど、わたしたちはパワフルになることができます。存在感が色濃くなって(そうですよね、身体の中にちゃ〜んといるんですもの!)、人への影響力も大きくなるし、なによりも、ココロのパワーが強くなるので、自分の思いがあちこちにくまなく届きやすくなり、自分と現実が仲良くなって、どんどん動き出す感じがします。

夏はお化けの季節。へんな感情に憑依されて、頭がぱんぱんになったり、それに気づかず突き動かされる、なんてことにならないように、「今、わたしは何を考えているかな?ちょっと観察しててみよう」とココロの門番さんに見張ってもらいましょう。

 

 

(「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子/心理療法家・ヒプノセラピスト)