「ちゃんと、空気読めてますか?!」

ヒプノセラピスト古川貴子のブログ

これ、「豪快蒸し」という名前がついたお料理。大きな缶に、ホタテやカキがダイナミックに蒸されています。

こちらの某海鮮のお店、スタッフミーティングでやってきました。それが、ちょっと変わっていて、メニューにこんな注意書きがあります。

「空気を読みながら楽しんでいただけたらと思います」

「ん、ん? どういうこと?」わたしたち、どのように空気を読んだらよいの?

でも、ほどなくわかりましたよ。・・・このお店、ホールも厨房もどこを見ても、たったひとりの男性しか見あたりません。ご主人ひとりでまかなっているようです。テーブル席が7つもあって、すでにお客さんが17人も入っているのに!そのうえ、壁一面、三段にもなって連なる日本酒のセレクション。これをサーブするだけでも大変そうです。

ということで、このご主人が焼いたり、煮たりしているときには、いっさい声をかけられない雰囲気。(背中が、声をかけるな!と語っています。)

そこでなにが起きたかというと・・・ お水が欲しかったSちゃん、作業に熱中するご主人にとても声をかけられる雰囲気ではなく、なんとコートもはおらず外の自販機を探しに行ったのでした。ひゃ〜!

お酒のおかわりも、他のテーブルの人がご主人に声をかけた流れにのるしかなく、それもわたしたち三人でいっせいに。ひとりひとりばらばらにお願いしたら、えらいことになりそうです(汗)。お酒のチョイスも、取り出しやすい棚の一列目を選んだり・・・(わたしたち、ちゃんと空気、読めてますか〜?)

次のお料理がきたときに、不覚にもお皿に残っていた最後のお刺身をゆずりあってしまったわたしたち。すかさず怒られましたよ。「取ってからやってください。時間のムダ!」と。(^^;;

豪快蒸しが出てきたときは、「あまり汁を飲まないでください。雑炊できなくなりますから」と釘をさされたので、ご主人かあとで回収にきたときに三人で例のギャグ、「安心してください! ・・・ちゃんと残ってますよ♪」をやっちゃおうか・・・なんて笑ったけど、こりゃ、ただ怒られるだけでしょ! やめました。(苦笑)

でも、やさしいYちゃんが「おいしかったですよ!ギリギリの値段でやってくれているんでしょう?」とご主人に声をかけると、突然ご主人にカタルシスが起きたのか、こころに溜めこんでいた泣き言のオンパレード。「ぎりぎりでやっていて、どんなに大変か。でもおいしいものを安く出したい。来月こそもう閉めるぞ、といつも思っている」などなど。ひとしきりしゃべったご主人の顔はとってもスッキリしていて、完全に癒しが起っていましたよ〜。はたで眺めていたわたしは「これぞ、ほんとのセラピーだわ」と思いましたよ〜。

このお店は二時間ほどで退散してお茶しに行きましたが、「今、気がついたけど、わたしたちすんごく気を遣っていたんだね〜。なんか、ホッとするわ〜。やっと、自分たちの話題ができるね」と笑ったのでした。(結局、ご主人、お客さんたちの注意を集めて癒してもらっている感じがしました。)

いや〜、いろんな営業スタイルがありますね。「おいしいものを安く」という努力は、このご主人にとってはこんなやり方になったのですね。

このお店、わたしたちのあいだで語りつがれること間違いなしです。(^。^; v

お料理は、新鮮でぷりぷりの牡蠣が美味でした。ご主人の努力のたまものです!