お茶の間シネマトーク「日本人でもどこか懐かしい“ブルックリン”」

ヒプノセラピスト古川貴子のブログ

きっちりかっちりカールをほどこした髪型(イメージとしてはサザエさん)、くっきり描かれた赤い唇、真っ白なブラウスにはギャザースカートをあわせて、肩にはカーディガン・・・。

1950年代の N.Y. を舞台に、アイルランドの田舎から移民してきた女の子、エイリシュの成長を描いた「ブルックリン」。

新しい地で砂をかむような思いをしながらも、愛する人に出会い、どんどんニューヨーカーとして変化していくエイリシュ。でも、母の死を機に、故郷と新しい地とで引きさかれそうになります。暗くて行きどまりのように感じていたアイルランドでの生活は、ブルックリンで成長した彼女にとってはまったく新しいチャンスをたくさん見せてくれるのです。はたしてエイリシュは、ブルックリンで待つ恋人のもとに再びもどれるのか・・・?

この時代のファッションは、なんてカラフルでエレガントなんでしょ! 古いどころかとってもオシャレに見えます。ストーリーのなかでエイリシュがブルックリンで自信をつけて洗練されていく様子が、ファッションの色合いで表現されています。(どんどんポップなファッションになっていきます!)

N.Y. 生まれの友人は、この映画には郷愁を感じると言っていました。おじいちゃん、おばあちゃんがこんなふうに様々な思いを胸に海を渡ってやってきたこと、また自分にとっても生まれ育ったなつかしい時代を思い出すのでしょう。

それを聞いて「なるほど〜。アメリカ版 “ALWAYS 三丁目の夕日”か〜」と思って観てみたけれど、日本人のわたしにとっては、この主人公が新しい環境のなかでひとつひとつの出会いによってみるみる変わっていく姿が、まさに20代の頃の自分と重ねあわせて共感できた気がします。

このエイリシュを演じたシアーシャ・ローナンは、ちょっとふっくらとしていて、往年の女優さんのようなエレガントで美しい雰囲気があるのです。彼女自身、じつはアイルランドにルーツを持つという N.Y. 育ちで、まさにご両親がこの映画と同じストーリーを生きているそう。

あとで調べたら、キーラ・ナイトレイの「つぐない」で妹役を演じていたあの女の子なのですね! 細かいことはあまり覚えていないけれど、悲しくって残酷なストーリー展開と、若干13歳ぐらいだった妹役(シアーシャ・ローナンだったの!)のたたづまいがひどく印象的だったのでした。

「ブルックリン」はアカデミー賞にノミネートされたけれど、日本ではそんなに大々的に興行していないようなので、うっかり見過ごすところでした。最近観た映画のなかでは、とっても好きな一本となりました。

涙壷度:★★☆☆☆(やっぱりラストに泣かされました!)