お茶の間シネマトーク「最後でさかさまに・・・メッセージ」

 ヒプノセラピスト古川貴子のブログ

アカデミー賞で話題になっていた「メッセージ」を観てきました。

今までの、よくある「未知との遭遇」ものとは違います。宇宙船はきらきらぴかぴかハイテクじゃないし、宇宙人もあのアーモンド型の目をしたロズウェルくんタイプじゃないのです。

何でできているのかわからない黒っぽいサナギのような巨大物体がタテに浮いていて、世界中に12本。

18時間おきに112分だけ、その底の部分が開くのです。だからといって、なかに入ってみる ・・・?!(汗)絶対イヤだわ!

コミュニケーションをするというミッションを担った言語学者のルイーズたちがなかに入ってみると ・・・ いました! 透明な壁のむこうにエイリアンの影。ぜんぜんインテリジェンスを感じさせない原始的な風袋です。そうですよね〜。宇宙人はみんな二足歩行だと信じているほうこそ、イマジネーション不足です。

たしかに 、宇宙の果てからやってきたのであれば、同類と感じるものよりも意表をついててほしいですもの。そういう意味では正しいのかも・・・。

ルイーズは、ことばを話せないこどもとコミュニケーションをするように丁寧に相手との意思疎通をはかろうとする一方、軍は業を煮やしていまにも攻撃の態勢です。

未知の生命体が示す文字には過去や未来の時間がないことがわかり、つまり「時間が存在せず、すべてが同時にある」とう概念がルイーズのなかにも芽生えてきます。(詳細はネタバレになるのでふせておきますが・・・)

新しい概念を理解するには、ルイーズのように勇敢でオープンマインドで、わかりたいという情熱が必要です。怖れていて攻撃的である心には、決してそれは理解することができないのです。あ〜これは、わたしたちが本当の「自分」に目覚めていく過程とまったく同じです。ある意味では、自分を捨てる、つまり死を覚悟しているような勇気が必要なのです。

そして、ルイーズは覚醒(?)していきます。

過去と未来が交錯するストーリーにアタマがウニのようになりそうでしたが、終わってから「あ、そういうことだったの」と。あの「シックスセンス」のように、最後に「そうきますか・・・」というちょっとしたドンデンがえしがあり。

それがわかるとちょっと感慨深いし、いろいろと見逃していた伏線もあったように感じます(もう一度みなくちゃ?!)。

おおごとが起きているはずなのに色彩をおさえた画面からはシンと静まりかえった雰囲気が伝わります。そこに未知の物体と生命体が発する不気味な音とルイーズの息づかいが重なり・・・ルイーズの目線になって、今までにないエイリアン体験ができます。

しかし ・・・ 時間を超越するような悟った知的生命体であるなら、なぜこんなにまどろっこしいコミュニケーションの仕方になっちゃったんでしょ?もっとダイレクトな方法があったのでは? という素朴な疑問もありますが・・・(笑)。

こちらには「wired」という原作があり、エンディングが違うそうなので、そちらももうひとつ楽しめそうです。