最近観た二本。まず一本目は・・・
スクリーンのまえには大きなスピーカーがゴロゴロ。コンサートが始まるような風景ですが・・・。
これは「爆音映画祭」の爆音上映会で、いくつかフィーチャーされた作品が爆音で上映されます。
爆音といってもただ音がガンガン大きいということではなく、普通の上映では拾われていないようなさまざまな音、むしろ意図的にカットされているような自然音などもその場面によって音が大きくされているのです。
でも、それによってかえって、登場人物の心理状態をあらわにしていたり、その場面がとてもリアルな感覚で伝わってきたりします。
私が観たのはジョン・カーニー監督の「はじまりのうた」。
キーラ・ナイトレイ扮するグレタがシンガーソングライターなので、彼女の歌声とさらに恋人役のアダム・レヴィーン(彼は何度もグラミー賞をとっています)の歌をたっぷり聴くことができます。
そして、これは以前に観ている作品なので、オリジナルとの違いがわかりやすいのです。
例えば、浮気をされて傷心のグレタが友人のライブハウスの片隅でボーっと飲んでいるのですが、突然ステージで彼女の歌を披露する機会を与えられるシーン。
バーカウンターの向こうのグラスや氷をあつかう音とか、ホールの人のさざめきが本来の作品よりも強調されていて、そのために彼女のこころの孤独感とか疎外感がよりひしひしと伝わってくるのです。
アダム・レヴィーンのライブのシーンなどは、まるでなまライブ会場にきているような臨場感。
どの場面もまったく不自然ではなく、むしろ街の喧噪やら、場面々々の自然な音をしっかりととらえているので、よりストーリーは現実味をましていたように感じたのでした。
これはお気に入りだったので、音を楽しみながら再び観られて楽しかった!
さて、もう一本は「グレイテスト・ショーマン」。
こちらも音楽が楽しめるミュージカル作品です。去年の今頃ヒットしていたオシャレなミュージカル「ラ ラ ランド」のスタッフが手がけたといいますが、こちらはだんとつゴージャスでパワフル!
テレビのトレイラーでもおなじみの「This is ME !」の歌声は圧巻です。この季節、新しい環境で新しいチャレンジをはじめるたくさんの人たちの背中をおしてくれるナンバーですよね。
テンポのいい展開とパワフルな歌声とダンス、そしてどの場面もきらきらゴージャスで、あっというまの2時間余でした。
私たちはみんな、自分には足りていないと思っているものをつけ足すことに忙しくって、それこそが幸せへの道のりであり、人生だと思ってしまっているけれど・・・それが粉々にくだけ散って、「そこには何も手にするものはなかったのだ」と悟るまでは、なかなかほんとうに大切なものに気づくことができません。
苦しい思いをしながら長い長い旅をして、結局はもといたところに舞い戻ってきて ... けれども、その旅の果てにこそ、「ようやくすべてはOKだった」ということを知ることができるのですよね。
ヒュー・ジャックマンのショーマン、はまり役でした。