お茶の間シネマトーク「シェイプ オブ ウオーター」

古川貴子のブログ、ヒプノセラピー/カウンセリング

今年のオスカーは、「シェイプ オブ ウオーター」でしたね。

このギレルモ・デル・トロ監督のラブストーリーが受賞したときいて、「え?! ウソでしょ」ってびっくりしました。それもかなりの純愛ものらしいし・・・。

以前、この監督の「パンズ・ラビリンス」というファンタジーを観たとこがあるのですが・・・。

それは、ひとりの少女がツライ現実から逃避して、迷宮でさまざまな架空の生きものに出くわすファンタジー ・・・なのですが、

それがまた、このうえなくダークで血みどろ、グロキモさがハンパなくって、まさにB級ホラーな作品だったのです。

何人かのお客さんは途中で席を立った人もいましたが、私は結末見たさに胸のムカムカを我慢して最後まで頑張りましたっけ。それほどドロドロ・・・。こどもが観たらトラウマ必至ものです。(でも、グロキモさに気をとられなければ、よくできた作品だと思います。)

そんな監督なので、純愛ものってどうよ? と疑惑の思いをだきつつ「シェイプ オブ ウオーター」を鑑賞いたしました。



ファンタジーのようでありながら、サスペンスのようでもあり、どこかB級ホラーのグロキモさも残しながら、ちょっと乙女チックに、美女と野獣をうわまわる純愛っぷり。

画面全体がずっと水の底のような静かな色合いで、まるで口をきくことができないヒロイン イライザのこころの静けさからながめているようです。でも、彼女が恋をするやいなや画面に鮮やかな赤があらわれます。彼女の一途な情熱をあらわす色。

彼女が恋するミステリアスなフィッシュマンは、アカデミー賞でメーキャップ賞をとった辻一弘さんが瞳の制作をてがけているそうな。グロテスクな風貌につぶらな瞳のミスマッチで、恋に恋する女の子をあっというまにとりこにしてしまったのでした。

純愛映画といいつつも、さすがギレルモ・デル・トロ監督、彼なりのホラーなエッセンスもちりばめられていてドキドキします。

そしてエンディングでは、私なりの続編まで頭に浮かんじゃいました。

水の底に招かれたような不思議な120分間。けっこう好きです、色合いも音楽も。そしてフィッシュマンも、嫌いじゃないな〜(笑)。