お茶の間シネマトーク「あん」

古川貴子のブログ、ヒプノセラピー/カウンセリング

観終わったあと、近くの桜並木に行って、しばらくベンチに坐っていたくなった作品です。

先日、C子ちゃんに会ったとき、「たかちゃん、樹木希林のあんをこねてる映画観た?」って。

C子ちゃんは飛行機のなかで観て、おもわず大泣きとなり、帰りの飛行機でまた観て泣いたそうな。

はいはい、観てはいないけれど、いっぱい賞をとってる河瀬直美さんの作品で気になっていたのです。予告のなかの、あんをこねる希林おばあちゃんの姿が印象的でした。

さっそく、TSUTAYAさんに行ってみると「あん」はあったものの。ナント棚にある7枚全部が貸し出されているではありませんかっ! 他のメジャーな作品をみても、全部出払っているなんてことはないのに。あら〜・・・ 「あん」ブームなの?

再度訪れて、やっと一枚見つけました。

小さなどら焼き屋さんの求人広告を見てやってきたのは、76歳のおばあちゃん。

「どら焼き屋といっても、ちから仕事だから」と断られるものの、おばあちゃんはあきらめないのです。時給300円、いえ、200円でもいい!と。

おばあちゃんには、どうしても働きたい理由があったのです。

そこから、どら焼き屋の店長とおばあちゃんと、そしてお店にやってくる中学生の女の子もまじえてストーリーが展開してゆきます。

このおばあちゃん、あずきを煮ながらじっと顔をおなべの近くによせているのです。店長が不思議に思ってたずねると、「あずきが見てきた雨の日や晴れの日や、そういう旅のはなしを聞いているのよ」と。

おばあちゃんにとって、ゆっくりと丁寧にあずきを煮てあげることは、あずきへのおもてなしなのです。

そんなおばあちゃんを見ながら、まわりの人々にも変化が起きはじめます。が・・・。

おばあちゃん役の樹木希林さんのひとことひとことが、心にしみいってくるようです。また、中学生役の女の子も希林さんのおまごちゃんの伽羅ちゃんで、子役養成所の役者さんでないところがかえって力みがなくってよい雰囲気です。

観終わって、木の下で深呼吸すると ・・・ ああ、風ってこんなに甘い匂いがしていたんだ〜とか、葉っぱが風にそよぐ音とか、夕暮れまえの空の色とか ・・・ 幼い頃にはちゃんと気づいていたはずのことに今さらながら気づかされたのでした。

そして、どら焼きを頬ばりたくなりました。あずきがつぶれていないおいしい粒あんの♡

涙壷度:★★☆☆☆(心にじんわりしみいります・・・)
C子ちゃん、すてきな映画を教えてくれてありがとう。