ブエノスアイレスに暮らす仕立て屋のアブラハムは88歳。
老人ホームに入れられる前日、こどもたちや孫が集まってくれたものの、彼の気難しさは相変わらず。
彼らをさっさと帰してしまったと思ったら、アブラハムはその日のうちに家出をくわだてたのです。じつは、最後に仕立てたスーツをどうしても渡さなければならない相手がいて、向かった先はナント、ヨーロッパ大陸、ポーランド。
高齢で身体はなまりのように重く、そのうえ足も悪い彼にとって、遠距離の一人旅は困難をきわめます。
なんせ突如思いたった旅なので、まずはブエノスアイレスからマドリッドへ飛んで、そこからパリへ行き、ドイツ乗り換えの鉄道でワルシャワへ ・・・。けれども、彼はドイツという言葉も口にしたくなければ、ドイツなどに足もつけたくなく、ドイツ語も耳にしたくない。彼はホロコーストを体験したユダヤ人だったのです。
そのうえ、旅の途中で全財産を盗まれるしまつ。
じつは、彼の偏屈さ、気難しさは、彼のこころの癒しても癒しきれない悲しみにも関係している様子。
旅の途中でさまざまなことにみまわれるものの、ゆきずりに見えた人々が彼の天使に姿を変えてゆきます。そして、ひとつひとつが癒しへと導かれてゆくのです。
アブラハムが命を落としそうになったときに出会った看護士の女性が、「神はすべての人を守ってくださる。すべて神のご意志だから」という言葉をかけ、彼は意を決して自分の怖れに立ち向かいます。(もう! アブラハムったらご高齢のわりには、つぎからつぎへと魅力的な女性に助けられちゃって。「俺も、今だってすてたもんじゃないだろ!」って、思ってたでしょ?!笑)
看護士の女性の言葉を証明するように、この旅はアブラハムの人生の最終章において神さまからの愛が輝きだします。
もう涙だらだら・・・。アブラハムとともに癒されました♡♡
涙壷度:★★★★☆(人と人のこころがつながったときに奇跡が生まれます。)