お茶の間シネマトーク「ストーリー・オブ・マイライフ」

古川貴子のブログ、ヒプノセラピー/カウンセリング

私の好きな俳優さん、シアーシャ・ローナンとティモシー・シャラメが出演しているこの作品。「若草物語」の最新リメイク版です。

私の世代は「赤毛のアン」シリーズの方が人気があったので、「若草物語」は一度しか読んだことがなく初めてのような新鮮さで楽しめました。

19世紀の終わりごろのウィスコンシン州。黒人解放にかかわる牧師である父親が長く留守をしている一家は、母と四人姉妹だけ。

作家志望である次女ジョーの目をとおして紡がれる、女ばかりの家族の貧しくともなんとも賑やかな日常。

まだまだ性差別が強く、女性が生きづらかったアメリカ社会で、大人になるまえの娘であり姉妹である少女時代を惜しむように姉妹と母、そしてお隣の老人やイケメンくんとの出来事がイキイキと綴られてゆきます。(→予告を見る)

ある日、ジョーの態度に腹をたてた四女のエイミーが、ジョーが完全にうちのめされるようなことをしでかしてしまうのです。

そのときのエイミーのセリフが、「ジョーを傷つけるためにはこれをするしかなかった」と。

ひゃ〜〜!「がっつりと傷つける意図があってやった」と言ってしまうところに口があんぐり。友だち関係だったら、一生修復はむずかしいでしょうに。

うちのめされたジョーは悲しみと怒りがおさまらず、エイミーと目もあわせずさけていたのです。けれども、さすがに姉妹。ついには赦して受けいれます。そして、なにごともなかったようにいたわりあう関係に。

なぜならジョーにとっては、憎むことよりも姉妹としての「つながり」の方がずっとずっと大切だったから。ジョーにとって、家族全員にとって、この絆こそが生きるちからだったのです。

この時代のファッションも可愛いらしいです。

腰までとどくふわふわのロングヘア。ボリュームのあるギャザーのロングスカートに編みあげブーツ。たっぷりしたブラウスにざっくりと編んだ大きめのカーデガン。エディ バウアーやむかしのローラ アシュレイのイメージです。

家族を助けるためにジョーがロングヘアをお金にかえてしまうシーンがあります。

自分の意志で髪を売った気丈なジョーでさえ、夜中にひとり「私の髪が〜・・・」と大泣きしていました。それに気づいて抱きしめるエイミー。

ロングヘアはまさに女性としてのシンボルのようなものだったようです。

自立心が旺盛で、夢をあきらめない勇気があり、自分の道をつきすすむジョーであっても、いちばん愛しているのは家族であり、家族があってこそそんなジョーでいられたようです。

「ブルックリン」や「レディーバード」の頃よりも少しほっそりとしたシアーシャ・ローナンが、そんなジョーのイメージにぴったりでした。

映画のなかでは、現在のストーリーが過去の出来事とのあいだを行ったりきたりするので、ちょっと混乱しそうになりますが、あたたかな四姉妹に励まされる作品です。

PS *ティモシー・シャラメは、美しさに磨きがかかっておりました♡
四姉妹のお隣さんである青年を演じているのですが、こんな姉妹たちがお隣に住んでいたらそわそわして当然。彼もじっと椅子に坐ってお勉強などしていられない様子でした(笑)。

*ピアノが得意な三女のベスが演奏する場面があります。流れるような美しいメロディーはベートーヴェンの「悲愴」の第二楽章とシューマンの「こどもの情景」から「見知らぬ国」。

どちらも、ステイホーム中に私が弾いていた曲なので嬉しくなりました。

「見知らぬ国」は、「ソフィの選択」のなかでもネイサンが異国からやってきた恋人ソフィのために弾いておりましたっけ。ピアノのまえに坐るソフィの後ろに腰掛けて弾くシーンはとってもロマンチックで、この美しい旋律にぴったりでした。