誰しも一度はこんな経験があるのではないでしょうか。
「あの時の言葉、どういう意味だったんだろう?」 「なんであの人はあんなことを言ったのだろう?」 「どうして、あんな出来事が起きてしまったんだろう?」
私たちは、もう過ぎ去った出来事について、何度も頭の中で繰り返し考えてしまうことがあります。しかし、その「過去」は、もうどこにも存在していないのです。目の前の「今」には、もはや影さえ残っていません。

それでも、思い悩んでしまうのは、自分の心がそのとき大きく揺れて、感情が刺激され、動揺してしまったから。怖れや悲しみ、怒りや傷つきといった感情が、心を波立たせてしまったのです。
本来、私たちの心は、鏡のようにすべてを映し出す穏やかな湖のようなもの。風がなければ、波ひとつない静かな水面なのです。しかし、心の中で「こんなはずじゃない」「なぜあんなことが…」と考え始めると、まるで石を投げ込んだように波紋が広がり、どんどん波立ってしまいます。
そして私たちは、出来事や他人の言動の「理由探し」に夢中になってしまい、自分の心の動揺そのものに目を向けることを忘れてしまいます。本当は、その波立った心にこそ、解決の鍵があるにもかかわらず…。

たとえば、SNSで誰かの何気ない言葉に傷ついてしまったとき。「どうして、あんなこと言うの?」と相手を責めたり、自分を責めたり、延々と考えてしまう。でも、その外側ばかりに目を向けている間、自分の心の中で「どんな思い込み」が傷つきの原因になっているかには気づくことができません。
「こんなこと、起きるべきじゃない」 「私は否定された」 「愛されていないのかもしれない」
そんな風に、自分で無意識に信じ込んでいることが、自分の心を苦しめているのです。
だからこそ、外側の出来事を変えようとするより、心の内側を見つめてみましょう。「私は今、どんな信じ込みを握りしめているのだろう?」と。

もし「起きることはすべて、善きことの流れの一部なのだ」と受け入れられたなら、出来事の表面に振り回されることなく、心を立て直すことができます。波立つ湖にも、静けさが戻ってくるのです。
それでも、自分ひとりでその誤りに気づけないときには、心を開いて助けを求めましょう。
「私は今、何を間違って信じているのか教えてください」と、自分の内なる高次の存在=ハイヤーセルフに問いかけてみるのです。
または、信頼できる人に素直に「どう感じる?」と尋ねてみてもいいでしょう。そのとき、宇宙は必ず、あなたに必要な答えを与えてくれます。助けは、あなたが心を開いて求めた瞬間に、どこからでもやってくるのです。

悩みの渦に巻き込まれてしまったときこそ、自分の心に問いかけ、誤った思い込みを手放すチャンスです。
そして何より大切なのは、「私は本来、穏やかな心で生きられる存在だ」ということを思い出すこと。
未来は、まだ存在していません。 過去も、もう存在していません。
あなたが「今、この瞬間」の心を正せば、どこまでも穏やかに、自由に、光の中を歩いていくことができるのです。
(「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子/ ヒプノセラピー・カウンセリング )