抵抗している自分の一部は、さっさと自分から切り離されて潜在意識にためこまれます。
この場合、「まどろっこしく」「くどい」というカッコよくない自分に耐えられなかったからこそ、その部分を切り離して心の闇に葬り、なかったことにしたのです。そして、それ以降はそんな自分がいたことすらすっかり忘れ、まったく反対のキャラクターであるテキパキ、打てば響く自分を演出し、それこそが本当の自分だと信じてきたのです。
そう話すと、A子さんは涙をポロポロこぼしながら、「十歳ほど年の離れた兄と姉に、いつも必死で話しをしていた。彼らはわたしが一生懸命話してもまったく理解してくれなかったし、そのうえバカにしはじめたり意地悪だった」と思い出しました。彼女は理解してほしいと話せば話すほど、まどろっこしくなる幼い自分をバカみたいに感じて恥じ、またそれによってどんどん機嫌が悪くなり意地悪になってゆく兄と姉を憎み、そういう不器用な自分さえも恥じていたのです。
同僚二人の中に見えたのは、葬り去ったものの、まだうずいている自分の中の古いキズそのものだったのです。
この場合、ふたりの同僚(男女)にすっぽりと兄と姉の役柄をかぶせていたわけです。A子さんは実際の二人の同僚の真の姿を体験することなく、兄と姉へのキズをすっぽりかぶせて彼らを見ていたのです。だから、この二人がとても意地悪に感じるし、二人といると自信はなくなり、気持ちが不安定になってくる。自分がどんどん無力に感じられて、その頃の小さな女の子に退行してしまっていたのです。「異動になってからイラつく、情緒不安定になる」というのはこれが原因だったわけですね。
何が起っていたのか理由を知るだけでも、もう解放が始まっています。そして、「ああ、まだこんな自分がいたんだね」と抵抗せずに認めて受け入れてあげることによって、抵抗して切り離されていた自分の一部が「反抗するのをやめて」自分の中に戻ってきます。いろんな感情を引き起こして暴れていた自分の一部が、気づいてもらって受け入れられておとなしくなるのです。
A子さんいわく、「この部署にきてから、まるで人が変わったみたいと言われていました。前みたいなパワーがなくなって、おとなしくて静かになっていたのですよね」と。この二人の同僚を兄と姉にみたててしまっていたので、二人と一緒にいると十歳上の兄と姉に抑圧されているように苦しくなってしまったのです。(実際、十歳違いだと、考え、腕力、口でもまったく歯がたちません。当時のA子さんは自分らしさを失っていたのだと思います。)
その兄と姉に抑圧されていたこども時代、A子さんは傷ついたすえにどのようなことを心に決めてしまったのでしょう?何が現実だと決心したのでしょう?(このこども時代に心の傷から決めたことは、パワフルな「信念」となり一生を通してその人の人生を支配します。まさに、三つ子(おさな子)の魂、百までですね。)
兄、姉との心の痛みによってA子さんの心の深いところで決めていたことは、「わたしなんていないほうがいい。誰もいないんだ。わたしはひとりぽっちだ」という心の叫び。それが、しっかりと潜在意識に刻み込まれていたのです。
このような無意識の中に隠された「信念」はとてもパワフルな威力をもちます。このままでは、まわりに愛があふれていても、いくら愛されようともまったく気づくことがなくひとりっぽちの人生になってしまいます。わたしたちの人生は、頭で考えていることよりもこうしたこどもの頃に刻み込まれた無意識の信念につき動かされているものなのです。
もちろん、この「ひとりぽっち」信念はすみやかに除去され、「愛し愛されている」信念におきかえましたよ〜。・・・サッパリした〜!と笑顔をとり戻したA子さん。
キズを手放す準備ができたとき、宇宙はちゃんとキズが浮上する場面を用意してくれます。それは、「もう自分を隠しながら生きる必要はない。そのキズの存在を認めて、自分の中に統合して終わりにしましょう。そして、ありのままの自分で生きなさい」ということなのです。丁寧な言葉遣いでもコミュニケーションがうまく成立しなかったのは、まさに彼女に本当の自分で生きなさいというメッセージだったのですね。A子さんの高い意識はさらなる魂の成長を求めて、「異動」と「男女ふたりの同僚」をセットアップし、それを利用して自分の足をひっぱるいらないプログラミングを消去する手伝いをしてくれたのでした。まさに、成功、うまくいきました。(^O^)/パチパチ!
セッションの翌日、A子さんからメールが届きました。
「あの男性同僚はお菓子をくれ、味方になり、女性のほうも優しくなりました!!!!!すごいね!!!o(^-^)o人間て、ほんとに面白いですね。マインドひとつで人生が変わるなんて!!周りまでも!!まさかあの二人が味方になる、仲間になるなんて。相思相愛っていいね〜(^^)ららら〜♪♪♪」
よかったね〜、A子さん。(^_^)v