11-04-07 今こそ、自分でできるトラウマセラピー

もともと会話によく登場するトラウマという単語、「心の傷」を意味します。東日本大震災後、「あの揺れはトラウマになった」というように、ますます常用されつつあります。

直接の被災地でないここ東京でも、余震、原発の恐怖、モノ不足など、常に不安感にさらされ続けることにより、それがボディーブローのように大きなダメージを与えトラウマに姿を変えたり、また抑圧していた古いトラウマを誘発し、感じたことのない痛みがさらけ出される場合もあります。

大きなトラウマも小さなトラウマも、知らないうちに心を蝕み、無意識のうちに人生のさまざまな局面に影をおとしはじめます。つきまとう倦怠感や恐怖心、未来への希望が損なわれ、生きている価値がないという自己否定へと発展してゆきます。そして、すべての行動の動機が必死で「何か避ける」か「何かを求める」という自己防衛に向かってゆきます。

昔、沢田研二さんの歌に♪身体のキズなら治せるけれど、心の痛手は癒せはしない♪というのがありました。身体のキズは自然治癒力によりある程度ほっておいてもメキメキ治癒しますが、心の場合はそうはいきません。それは痛みを感じることをさけるため、すみやかにバリアーで覆われ、キズなどなかったように振る舞い始めます。しかし、痛みは知らず知らずのうちにその人の人生の主導権を握り「怖れ」や「防御」で行動するようにかりたててしまうのです。

トラウマに癒しをもたらすためには、まず「気づき」が大切なポイントです。長くわけのわからない不安が続く、体調がおかしい、自分らしくない・・・そんなときにこそまず立ち止まり自分をケアする時間をとりましょう。

やり方はむずかしいことはありません。「何かヘンだとまず気づく」→「何でこんなふうに感じているのだろう」と尋ねてみる→「今、このように感じる必要があるのか?」→「じゃあ、同じ感じが過去にあったとしたらどんな場面?何が起きてた?」と探求してみます。

抑圧していたものを表面意識に引っぱり出し、認めてあげるだけで解放が起ります。気づくことによって、過去ではなくより「今」にいることができるようになるのです。

トラウマはそれをお掃除することによって、怖れにコントロールされる人生ではなく、自分の愛や喜びや可能性のために人生を選択できるようになります。トラウマの後ろに隠れた本当のあなたは可能性の宝庫。あなたの心には素晴らしいパワーがあるのです。
(セラピーコモンズ・ネットモールさんのセラピストコラムに掲載)