17-04-15 すでにみんな催眠状態・・・

出会った初対面の方に、「ヒプノセラピーという軽い催眠を使ったセラピーを生業にしています」と自己紹介をすると、みんなおもしろいリアクションを示してくださいます。

最近は昔ほどではないのですが、私がこの仕事をはじめた二十数年前など、まるで要注意キケン人物のような目で見られましたもの(笑)。

日本人はそうそうあからさまではないのですが、海外で「Hyphosis(催眠)を使うセラピーをしています」といおうものなら、「ああ、きみと話していると、自分を失いそうになる。助けてくれ!」とか(なんのこっちゃ!笑)、「きみはぼくを犬にするつもりだろう!」とか(犬になりたいんですか? 笑)。あるいは、私のまえで直立して目をつぶり、思いっきり緊張して、「さあ、準備はできた。やってみてくれ!」とか(なにを?! 笑)。

Hyphosis (催眠)という言葉は、やっぱりテレビの催眠ショーしかイメージできないのだろうな〜と思います。そして、本人の意志に関係なく、好き勝手にコントロールされちゃう、したくない恥ずかしことをしちゃう、というお決まりのなりゆきを思い描きます。

だから、はじめてヒプノセラピーを受けられたクライエントさんは、セッションが終わるなり「失敗だったみたいです!」とがっかりしておっしゃいます。「だって、ずっと意識があって、貴子先生のいっていることが聞こえてました」って ・・・ (気絶したほうが、よっぽど失敗です・笑)。

(注):この誤解をとくためにも、声を大にして申し上げておきましょう! セラピーにおける催眠は、たんなるこころと身体の深いリラックスです。ちゃ〜んと意識があって、聞こえるし、しゃべれるし、身体も自由に動かせます。でも、じゅうぶんリラックスしているとかえって意識は明晰になり、「わかっちゃいるけどやめられない」というこころのプログラミングに達して、それを自然に解放してあげることができるのですね。

でもね、ヒプノセラピーの催眠状態で犬にされちゃうことを心配するよりも、じつはもっと心配しなくちゃいけないことがあります。

それは、催眠にかけられることを心配するより以前に、「すでにあなたはずっと催眠状態だった!」ってこと。

その催眠状態で、(犬ではなく)「あなた」に同一化しすぎて、もうやめられなくなっているってこと。

やめてもいいし、やめられるのに、そしてやめることのほがずっとラクなのに、「やめる」という考えすら浮かんでくることができない・・・ というのは、じつはかなり重篤な症状。「わたし」という着ぐるみを着たら、一体化しすぎて、一生脱げなくなっちゃった!みたいな(汗)。

その「じつは存在してはいないあなた」に同一化しつづけることこそが、なんでもかんでもシリアスになっちゃうほんとうの原因であり、「あなた」に絶えずふりかかってくる「問題」というものが生じる原因である ・・・ということに気づくことができません。

でも誰も、幸せになるために「あなた」をやめたほうがいいですよ、なんて教えてくれません。むしろ、そんなことをいっているわたしのほうが、よっぽどアタマのおかしなセラピストに聞こえます(笑・はい、かなりキケンなセラピストです)。

だから、世の中は「あの人のせいで、私は困っている」という被害妄想患者であふれ、また自分(スピリット)と身体を同一視する依存症も発症し、さらにほんとうの自分のアイデンティティがわからない認知症まで併発している人たちであふれています(というか、全員そうなのですが)。

ほんとうのことを言おうものなら、そのほうが精神疾患のように聞こえます(でも、容赦なくセラピーでは、ほんとうのことを教えますが・笑)。

それでも、この窮屈な個人という自分に執着する病も、準備が整うと「ほんとうの自分への誘い」という癒しの時期がやってくるようです。

そのなかで、徐々に徐々に、ほんとうのことを耳にする機会がふえ、「そうかもしれない!」と感じるようになり、そう思うとそのような世界が顔をあらわし、しだいにその本当のことが自分の真のアイデンティティを呼び覚ましてくれます。

それこそが、わたしたちの慢性的な催眠状態からの目覚めのときです。

だから、ヒプノセラピー以前に、私たちはすでに深く催眠状態なのです。そして、ヒプノセラピーという心地よい催眠(リラッックス)をつかって、慢性的な催眠状態(被害妄想、依存症、認知症・・・etc)から目覚めて、ほんとうの自分へ気づくという新たな旅をはじめるのです。

私がヒプノセラピーをはじめた当時は、まったくキケン人物だったけど、二十数年をへてようやく、少しは生きやすくなってきました! (*´∀`*)ノ

 

「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子ヒプノセラピーカウンセリング