お友だちにいただいたチケットで「セザンヌ」展に行ってきました。
セザンヌというと静物画。今にも、絵の具とテレピン油の匂いがしてきそうな作品です。
油絵に取り組んだものなら、このくちゃっと広げたクロスや、無造作にころがしたリンゴやオレンジ、そして水差しは必須、そんなセザンヌ風静物を一度は描いたことがあると思います。描いてみてはじめて、セザンヌのすごさを思い知るのでした。この空間の扱いやら、モノの存在感!
晩年の作品は、赤い土と彩かな松の緑、そしてヴィクトワール山がメインのモチーフ。ひと目でセザンヌとわかる作風と色彩。若い頃の作品はまったく別人でびっくりします。試行錯誤の末の自分探しだったのでしょうね。
展示の中にセザンヌのアトリエを再現したものがありました。ああ、あの静物画に描かれていたテーブル、水差し、果物皿・・・ホンモノです!そして、セザンヌが亡くなる日まで使っていたパレット。
使い込んだパレットに、一カ所とてもきれいな部分が。これはセザンヌの親指がのっていたところ。わあ、けっこうごっついしっかりとした親指のイメージです。そしてパレットに絞り出された使いかけの絵の具に、最期の最期まで創作に喜びを感じていたセザンヌの情熱が伝わってくるのでした。死の瞬間まで好きなものを追求し続けるパワーがある・・・うらやましい人生です。
PS. 朝の新国立美術館、お花と緑が爽やか。気持ちのいいお出かけのひとときでした。